勝利へ望みをつないだ山村和也のヘディング弾
56分に清水がカルリーニョスのゴールで逆転。川崎に暗雲が立ちこみはじめたが、それを晴れさせたのが76分のMF山村和也のゴールだ。
高校時代から将来を期待され、流通経済大学時代にはA代表に選出されるなど順調な選手生活であった山村。しかし、プロになってからは怪我やポジション争いに苦しみ、満足できる結果を残せていない時期もあった。2019年に川崎加入以降試合出場数はそこまで多くはないが、なくてはならない選手に成長し、豊富な運動量とポゼッション能力でチームを支えている。そんな苦労人が長身と体の強さを活かしたヘディング。思わず解説者も「うぉぉ」と唸るほどのゴールであった。
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執念の逆転弾の起点も山村和也
川崎の逆転は78分。川崎の強みであるサイドでの組み立てによる攻撃。FW知念慶が深くに侵入することで、清水ディフェンス陣も自陣方向へ戻る動きをとる。この清水ディフェンス陣の動きと逆の動きを取ったのが、山村だった。本人も自身のストロングポイントを「ポゼッション」と語るようにその強みが発揮された。
上図④のスペースでボールを受けると、山村には一番遠くのマルシーニョのランニングと⑤のスペースまでが見えている。マルシーニョも相手にアプローチを受けながらもボールを繋ぎ、小林まで繋いだ。山村のポゼッション能力とパス技術、マルシーニョと小林の泥臭さが生んだ執念の逆転ゴールであった。
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川崎の奇跡を信じる者はいるか?
試合前に鬼木達監督が選手たちにこう語った。「奇跡を信じることが大事で、自分たちが信じないとサポーターもついてきてくれない」
試合後のコメントで小林も次のように語った。「自分たちで可能性をなくすのはやりたくなかった」
川崎は選手だけではなく、フロントやサポーター、関係者全員が可能性を信じていることだろう。川崎に残された試合数は3。2022シーズンはどんなフィナーレが待っているか楽しみだ。