秘密2:オレンジと緑の巧みな色の使い方

ヴェネツィアのユニフォーム人気の秘密第2は、色の使い方だ。扱いが難しいオレンジとグリーンについてはなるべく少量をポイントとして活用し、またパターンデザインにする場合は、それら2色の色味を抑えられるような工夫が施されている。わぁこれは憎い使い方だな、と感じたのが、サードユニフォームのデザインだ。

大胆な全面ゴールド地に襟と袖口、ロゴのみが黒の仕様なのだが、どこにオレンジと緑が使われているのかと思えば、なんとボタン部分の見えない内側スペースに使用されているのだ。やはりオレンジと緑については、なるべく少量を意識しているのが伝わってくる。

ヴェネツィア2022/23ユニフォーム イラスト:Molly

秘密3:計算し尽くされた書体とサイズ感

ヴェネツィアのユニフォーム人気の秘密第3は、クラブ名「VENEZIA(ヴェネツィア)」の書体だ。フォントデザインと呼ばれる文字の形状というのは、商品の売れ筋や物の雰囲気を360度コロッと変えてしまうほど、非常に影響のある部分。この技を存分に活かし大成功をさせているのが、ヴェネツィアのユニフォームだと筆者は確信している。

特にホームユニフォームが謙虚にそれを物語っていて、黒地のダークな雰囲気にゴールドの華奢な書体で「VENEZIA」と上品。文字サイズも控えめに、周りの黒の余白を残す。すると文字は小さめなのに、黒の中の小さなゴールド文字から、ヴェネツィアの強さが訴えかけられて来るよう。これがもしゴシック体と呼ばれる、ややポップで太めの文字だったら?うーん、と考えてしまうだろう。


秘密4:ファッション雑誌広告仕様の演出

ヴェネツィアのユニフォーム人気の秘密第4は、最初から他のクラブとは違う路線でユニフォームがリリースされていることだ。通常サッカーの新ユニフォームを発表する際は、そのクラブのプレーヤー数名が着用し、強さを強調するポーズや、イメージに沿った構成で表現される。もちろんヴェネツィアも同様ながら、根本的にサッカーというスポーツ目線ではユニフォームを紹介していないところが、大きな違いを生み出している。

モデルは選手ではなくファッションモデルを起用。ユニフォームを単純に着用するだけではなく、ファッションとしてアレンジさせた状態の写真をリリースしている。例えば、半袖ホームユニフォームに白のブラウスを重ね着したスタイルや、ショートパンツとゴールドの大ぶりイヤリングとの組み合わせなど、一見すると有名ファッション誌『Vogue(ヴォーグ)』などの、見開き数百万円の広告ページのような仕上がりだ。