ヴェネツィア2022/23ユニフォーム イラスト:Molly

近年スポーツブランドではない高級路線のアパレルブランドが、サッカー業界との距離をじわじわと縮めてきている。PSG(パリ・サンジェルマン)のワードローブデザインを『Dior(ディオール)』が担当したり、アーセナルのユニフォームを『ステラ・マッカートニー』が製造するなどだ。

それに伴い、サポーターのユニフォームに対する意識もまた進化してきているようだ。例えば、レプリカユニフォームを着用して試合観戦するというのが現代のスタイルだが、今や単純にお気に入りの選手やクラブに対する意思表示としての役割だけではない。特にプレミアリーグの本拠地イングランドを含めたヨーロッパ地域では「ファッション」と捉えられる方向に、役割が変化してきている。

サッカー好きの方なら1度は目にしたことがあるであろうが、極めて入手困難なユニフォームはご存知だろうか。1999年に元日本代表MF名波浩も所属していたヴェネツィアFC(当時ACヴェネツィア)のものだ。2008/09シーズンに経営困難のため破産をした同クラブは、翌シーズンセリエDから再スタートし、昨2021/22シーズンはセリエAまで復帰を果たした(現在セリエB)。

ヴェネツィアは決して、抜きん出て目立つクラブではない。しかしユニフォームについては、恐らく世界でもトップに入る人気を誇っている。既に様々なメディアで「入手出来ないユニフォーム」と騒がれており、サポーターではなくとも絶対に購入したい!と、古着までもを探し回っている熱いファンも多い。では、そのユニフォームは一体どんなものなのか?そして、その秘密は一体何なのか?少し探ってみよう。


元ヴェネツィア MF名波浩(1999)写真:Getty Images

秘密1:ゴールドを採用した色の構成

2022/23シーズンのヴェネツィアのユニフォームデザインはというと、全体的にシンプルなよくあるストライプ模様に、肩と袖に沿ったラインデザインなど至って普通の仕様。しかし、人気の秘密第1として、色の構成が挙げられる。クラブのメインカラー「オレンジ」「黒」「グリーン」の3色構成に加え「ゴールド」が使用されていることがポイントとなっている。

単にオレンジとグリーン、黒だけでは、カボチャ色がどうも強調され、恐らくこんなにも人気に火がつかなったかもしれない(ハロウィンには良いかもしれないが)。ゴールドが入ることによって、一気に全体が高級感を帯びて大人っぽさが強調されている。もしもゴールドが赤だったら?白だったら?さて、どうだろうか。