どんな仕事でも何かしらの形で必要になる「提案」。その成功率が高い人を「提案力がある」と表現することがよくありますが、そもそも提案力とは何なのでしょうか。

提案力がないことで苦労した会社員時代から一転、現在は提案力を支えにライターを続ける筆者が、これまで実践してきたおすすめの提案力向上トレーニングや、提案のポイントを解説します。

目次
提案力とは
提案力がある人に共通しているスキル

提案力とは

提案力とは、相手に対する提案を成功させる力です。提案と言うと「自分からするもの」という印象が強いかもしれませんが、実は成功する提案の答えは相手にあります。相手が望むことを的確に提案できれば、その提案は必ず通ります。つまり、提案力とは、言い換えれば相手のニーズを言語化する力なのです。

提案力は、フリーランスであろうと会社員であろうと、あるいは職種がなんであろうと、さまざまなビジネスシーンで役立つスキルです。提案力があると周囲から頼りにされることが多くなり、仕事における活躍の場も広がるので、伸ばしたい基礎スキルのひとつと言えるでしょう。

よくある「提案力」の誤解

自分の意見を強く押し通せれば提案力があると誤解している人をよく見かけますが、提案とは相手の課題を解決するために提示するものです。

つまり、提案力は相手の悩みから生まれるものであって、自分本位なものではありません。

提案力/企画力/営業力の違い

「提案力」と似たスキルとして、「企画力」や「営業力」などがあります。これらは全て顧客などの相手に対して価値を提供する力ですが、それぞれ意味は少しずつ異なります。

まず「企画力」とは、アイデアや手法を組み合わせて相談者の目標を達成する力を指します。たとえば、森永が発売した「おいしいトマトヨーグルト」は、トマト嫌いが「まさにこれはトマトだ」と顔をしかめる広告で話題になりました。いかに本物のトマトの味がするか伝えるという目標のために、あえて嫌いな人を起用するというアイデアを出すところが、企画力にあたる部分です。

「提案力」はビジネスパーソンの基礎力。提案力がある人の特徴と強化方法
(画像=▲トマト嫌いの人をあえて起用したCMが話題になった「おいしいトマトヨーグルト」(出典:森永乳業公式チャンネル),『Workship MAGAZINE』より 引用)

一方の「営業力」とは、的確に商品価値を伝え、相談者の購入・利用を通じた目標達成をサポートする力です。先ほどの「おいしいトマトヨーグルト」では、健康に課題を感じる人に対してバランスよく栄養が取れるトマトヨーグルトの魅力をプレゼンし、普通のヨーグルトと比較したグラフなどを提示する、といった手段の部分が営業力と言えるでしょう。営業活動は、相手がその商品を買いたい理由や、買うまでのストーリーに説得力を持たせます。

このように、提案力、企画力、営業力はいずれも相手の悩みを解決するスキルではありますが、若干そのニュアンスは異なります。多くの商談やプレゼンは、提案力と企画力、そして営業力を掛け合わせ、適切に使い分けることで成功率が高まります。

提案力がある人に共通しているスキル

提案力には、いくつかのスキルが複合的に混じり合っています。それを分解してみると、自分に何が足りないのかもわかりやすくなります。

スキル1. 傾聴力

第一に、相手の言葉をしっかり聴き、受け止める傾聴力が挙げられます。相手の伝えたいことを正確に理解すればするほど、提案の確度が高まります。

自分が何を話すかより、相手が何を話しているかのほうが重要だということを忘れず、相手の言葉に耳を傾けましょう。

スキル2. 洞察力

次に、相手が言っていないことや言えないことまで察する洞察力が挙げられます。

この洞察力は、日頃から人に関心を持つ姿勢を持ち、人の言動や行動の理由を想像することで磨かれます。潜在的な課題も踏まえた提案を出すために必要な能力です。

スキル3. 語彙力

良い提案とは、わかりやすく、納得できるものです。

語彙の引き出しが豊富だと、相手に合わせた言葉で提案できるため、語彙力を高めることは提案力を高めることにもつながります。

スキル4. 論理的思考力

提案力を高める上で、一番重要なのが論理的思考力です。相手の相談を整理したり、それを解決する方法を組み立てたりするためには、論理が必要不可欠です。

プライベートな悩みの解決方法は時に非合理的なものもありますが、ビジネスに関わる相談事は合理的な提案で解決することがほとんどです。感情面にも寄り添うことは前提ですが、ロジカルに物事を整理できなければ優れた提案は生まれません。