専門家に聞く「船酔い」Q&A

ここからは、船酔いについてよく聞く疑問を伊藤さんへ質問してみました。

Q.手首のツボは効果がある?

A.たしかに東洋医学的には「ある」と言われていますが、素人がバンドなどで正確に、確実にそのツボを押せるか。どこまで効くのかは不明です。

Q.船酔いしてからでも薬で治せる?

A.他社製品を含め、成分が体に吸収されれば、効果は出ます。ただ、嘔吐により飲んだ薬が吸収される前に体外へ排出されてしまうケースもあるので、なるべく早めの服用を勧めます。酔いやすい人は、乗船の30分~1時間前が目安です。

Q.食べ物は影響する?

A.胃に負担のかかる消化の悪いもの、脂っこい食べ物は前夜を含め避けたほうがいいですね。食べ方としては、乗船の1時間前までに、消化のいいもので軽く済ませる。空腹でも、満腹でもよくないですよ。

Q.寝不足はダメ?

A.たしかに原因の一つです。寝不足=神経が疲れている状態なので、自律神経が乱れやすい。できれば前夜はぐっすり寝てほしいですが、興奮して寝つけなかったりしますよね。

Q.船酔いしやすい人の特徴は?

A.平衡感覚、体幹の強い人は酔いにくいですね。回転運動に対して体が慣れていたり、それに耐えられる人も酔いにくいです。前述しましたが、鍛えたり慣れることで、ある程度は克服できます。よく、運動神経が鈍い人は酔いにくいと聞きますが、それは逆です。

Q.唐辛子が効くとの話は本当?

A.正直、医薬品レベルの効果があるかと言えばノーです。ただ、刺激によって症状が回復するということはあります。辛みであったり、氷を口に含むことでスーッと酔いが和らぐというのは昔から言われています。

Q.においが影響することは?

A.よく聞きますね。排気ガスや車内、船内の独特なにおいと、過去の酔ったという経験が脳のなかでセットになってしまっているのです。ゆえに、そのにおいを嗅いだだけで脳が先行して考えてしまう。結果として気持ち的にダメになってしまうケースですね。

船酔いしないための5つの対策

ここまでの伊藤さんの話を聞いて船酔いしないための対策をまとめました。

前日は早めに就寝

自律神経が乱れやすくなるのでしっかりと睡眠時間をとることが重要です。前日は早めに布団に入るようにしましょう。

消化の悪い食事は避ける

前日の食事では脂っこいものなど、消化の悪いものは避けるようにしましょう。また、アルコール類も控えるようにした方がいいです。飲みすぎて二日酔いで乗船するような状態は最悪のコンディションと言えます。

乗船一時間前に軽食を取る

乗船の1時間前に、軽食を取ると酔いづらくなります。食べるものは消化のいいものにしましょう。

比較的揺れの少ない席に座る

酔いやすい人は、揺れやすいミヨシやトモは避けて胴の間に座るようにしましょう。

船酔いしないための5つの方法 専門家に聞く酔いのメカニズムと対策船酔いしないための対策(提供:週刊つりニュース関東版 編集部)

精神的な不安を抑える

最後に、プラセボ(プラシーボ)効果ということがあります。酔いに対しても有効で、「私は酔わない」「これをすれば大丈夫」という、安心感からくる暗示のようなものもかなり有効です。これは逆の効果もあり、せっかく楽しみにしていた船釣りが酔ってしまったら台無しになってしまうという考えから、「酔うかもしれない」と不安に思っている人や、はじめて船釣りする人が酔いやすくなるということもあります。また、楽しみにしすぎて興奮状態になってしまう子どもも、酔ってしまうことが多いです。そんな不安を抑えて「楽しい思い出」にするためにも、予防として乗船前の30分~1時間前に酔い止め薬の服用を勧めます。