読者の中には「船釣りはやってみたいけど船酔いが心配」とか、「一度乗ったら酔ってつらい経験をした」なんて人も多いと思います。「船酔い」は、日々乗り続けて慣れるという荒療治もあるそうですが、職業柄よく船に乗る人でもないとそれは難しい話です。今回はそんな「船酔い」のメカニズムと、船酔いしないための方法などを解説しています。

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船酔いしないための5つの方法 専門家に聞く酔いのメカニズムと対策

船酔いしない方法はある?

船酔いしない方法があるのかどうか、話をうかがったのは、釣り業界内で〝よく効く酔い止め薬〟として知られるアネロンを販売するエスエス製薬のCHCメディカル学術グループマネージャー・伊藤淳さん。

船酔いしないための5つの方法 専門家に聞く酔いのメカニズムと対策CHCメディカル学術グループマネージャー・伊藤淳さん(提供:週刊つりニュース関東版 編集部)

伊藤さんは大の釣り好きでシーバスやシイラをはじめ、現在は外房のヒラマサをメインにオフショアジギング、キャスティングで狙っている本格アングラーだそうです。ただ、船には弱く、タックルボックスにはアネロンを常備しているとか。

乗り物酔いの原因は?

乗り物によって起こる〝揺れ〟が原因です。もっとも身近な歩くという行為。当然ながら日ごろ経験しているので、脳が振動や揺れを処理し、平衡感覚を保持してくれます。ところが、船などの揺れは日常体験しない前後左右の動きだけでなく、さらに上下の揺れやロールが加わり、それが不規則に連続して起こることで、脳が処理しきれなくなってオーバーヒートしてしまいます。

慣れれば酔わなくなる

なので、その揺れに対し、体が慣れてしまえば基本的に〝酔い〟はなくなると言われています。例えば小学生のころ、バス遠足などで毎回酔っていたとしても、ふだんの生活のなかで、何度も経験することにより、成人になるころには、バスによる乗り物酔いはなくなることが多いですよね。ただし、船に関してはふだん経験しない乗り物ですし、釣りが好きとはいっても、せいぜい週に1回乗る程度。なかなか体が慣れることはできません。

自律神経の乱れが原因

内耳には動きを感知してバランスをつかさどる器官があることは知られていますが、同時に目からの情報も脳に伝わっています。船釣りで多くみられるケースとして、エサ付けや仕掛けを組む際の細かい作業、または下を向くと酔うというもの。この原因は、耳の奥で揺れを感知→脳が揺れていると判断。一方で、目から入る情報は一点を見つめているので揺れていない。この二つの異なる情報によって脳が勘違いを起こし、よって脳内がパニックを起こし、自律神経の乱れから頭痛やめまい、吐き気という症状が現れるのです。酔い止めの多くは興奮状態にある脳を静める成分を配合しています。人によって眠気を感じるのはそのためです。