ランサーズが2021年に行った調査では、2019年から500万人近くフリーランス人口(副業で収入を得た人も含む)が増加したとの調査結果が出ています。みなさんのなかにも、最近フリーランスになった方がいらっしゃるかと思います。

しかしフリーランスになったからといって、すぐに良い案件を獲得できるとは限りません。

そこで今回は、フリーランスとしても会社員としても豊富な経験をもち、フリーランス・副業向けマッチングサービス『Workship』でも複数のお仕事を契約している中村さんに、フリーランスならではの仕事の選び方について、お話を伺いました。

目次
「楽しさ」を最優先にしていた20代
キャリアを再編集する

「楽しさ」を最優先にしていた20代

宮﨑:
中村さんはファーストキャリアとして編集プロダクションを選ばれていますが、もともと編集者を目指していたんですか?

中村:
最初から編集者になりたいと思っていたわけではありませんでした。情報を扱う仕事をしたいと思いながらいろんな会社を見ていたところ、その編集プロダクションの雰囲気が自分に合ってると感じて入社を決めたんです。

ただ実際に入社してみたら、想像と違う部分が見えてきて。学校に納品する書籍を取り扱う会社だったので、市場が安定していて業務スピードものんびりとしていたんですよね。

少し働いてみて、もっと自分に合う仕事があるだろうと思い、1年ほどで転職を決めました。

宮﨑:
物足りなくなってしまったんですね。

中村:
そうですね。なので転職エージェントには「仕事量は度外視でいいから、面白い会社で働きたい」とお願いしました。20代は尖ってましたね(笑)。

楽しさを優先していたら金銭難に!? キャリアの再編集で見出した仕事の選び方
(画像=『Workship MAGAZINE』より引用)

中村:
そこでAll Aboutを紹介されたんです。当時はWebメディア自体が世のなかに浸透していませんでしたし、さまざまな個性を持った人が在籍している点も面白いと思い、入社しました。

宮﨑:
転職してみていかがでしたか?

中村:
スピード感が違いましたね。ちょうどインターネットを取り巻く環境が大きく変わっていく時期だったことと、会社の上場が重なったんです。なので肩書きはずっとWebディレクターだったんですが、ただ座ってるだけでも見える景色が変わるような日々でした。

宮﨑:
中村さんが望んでいた「情報を扱う面白い会社」だったと思いますが、どうして退職しフリーランスの道へ進まれたんですか?

中村:
途中で会社の事業方針が変わって、メディア以外の事業が主軸になったんです。「じゃあ一回辞めてみようかな」と軽い気持ちで辞めちゃいました。ただ辞めた時点では、フリーランスになろうとは思ってなかったんです。

宮﨑:
別のきっかけがあったんですね。

中村:
もともと家庭環境や個人的な趣向の関係で、アート業界の方と親しくしていました。その方たちに会社を辞めたことを伝えると「それなら仕事を手伝ってほしい」といくつかお仕事のお話をいただいて。そのおかげでとりあえず3ヶ月は生きていけるなと思い、フリーランスに移行しました。

キャリアを再編集する

宮﨑:
フリーランスになった当初の案件は、すべて直接依頼を受けたものでしたか?

中村:
いまほどではないですが、当時もWorkshipのような案件を紹介するサービスがあったので、利用していました。

ただ実際に引き受けた仕事は、直接依頼をされたり紹介されたりといったものがほとんど。

ヘッドデザイナーである加茂克也さんの独立を手伝ったのもその一つです。

楽しさを優先していたら金銭難に!? キャリアの再編集で見出した仕事の選び方
(画像=『Workship MAGAZINE』より引用)

宮﨑:
CHANELやFENDIのキャンペーンビジュアルなどを担当されていた加茂さんですね。すごい方とお仕事をされていたんですね……!

中村:
会社員時代に加茂さんの個展に行ったのがきっかけで知り合った方です。ぽろっと会社を辞めたことを伝えると「独立を手伝ってほしい」と頼まれて引き受けたんです。最初は軽い手伝いと言われていたんですが、立ち上げ以降の運営やマネジメントまで任されました。

宮﨑:
人脈を生かして案件を獲得されていたんですね。

中村:
そうですね。アンドロイドオペラ『Scary Beauty(スケアリー・ビューティ)』を手がけた音楽家の渋谷慶一郎さんともお仕事をしたんですが、この案件も加茂さんからのご紹介でしたから。
ただ当時は面白さや楽しさを優先して仕事をしていたり、契約も曖昧なまま仕事を引き受けたりしていたので、金銭的に苦労することになってしまって。

宮﨑:
それがフリーランスを一度辞めて、再度会社に所属するようになった理由でしょうか?

中村:
生活に困ったことで、改めてキャリアについて考え直したんです。そこでやっと、ビジネスの場では経歴や実績が重視されることを理解しました。

しかしそういった点で考えると、当時の私にはフリーランスとしてマネタイズできるような際立った経験がないなと思ったんです。そこで、一度自分のキャリアを見直して編集してみようと。徐々にですが、フリーランスから組織の人間に戻っていきました。