年収は複数の要素によって決まります。同じ職種でも年齢や就業地で給与が大きく変わるケースも珍しくありません。まずは年収の実態を知り、キャリアプランの設計に生かしましょう。世界における日本の賃金水準や、高収入が多い業種についても解説します。

目次
世界的に見ると日本の年収は低い?
会社の規模が大きいほど平均給与は高い

世界的に見ると日本の年収は低い?

平均年収を知って収入アップの計画を。最も給与が高いのは50代?
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

働く人の賃金は国や地域、職業などによって異なります。世界の中で、日本の賃金水準はどの程度なのでしょうか? 国税庁の調査資料などを参考に、給与所得者の平均給与や賞与の実態について解説します。

先進国では下位クラス

経済協力開発機構(OECD)が公表する2021年版「世界の平均賃金」によると、日本の賃金ランクは34カ国中、第24位です。同じアジアの韓国にも抜かれ、先進国の中では下位クラスという結果でした。

厚生労働省が公表する「平均給与(実質)の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)」によると、1989年の平均給与は452.1万円で、1991年には470万円を超えました。その後は増減を繰り返しながら推移し、2018年時点では433.3万円です。

このことから、日本の平均給与は減少傾向にあるといえます。近年はコロナ禍や物価上昇、平均給与の低迷によって国民生活が圧迫されていることから、経済産業省では「賃上げ促進税制」を導入し、企業の賃上げを促進しているのが現状です。

参考:平均賃金 (Average wage) | OECD
参考:図表1-8-2 平均給与(実質)の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)|令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-|厚生労働省

日本の平均的な給与と賞与は?

2020(令和2)年分の 「民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与とその内訳(平均給料および手当・平均賞与)は以下の通りです。

項目平均給与平均給料・手当平均賞与
全体433万円369万円65万円
男性532万円449万円83万円
女性293万円254万円39万円

平均給与は、集計対象となる人の年収を足し合わせて人数で割ったもので、一部の高収入者によって値が引き上げられています。あくまでも一つの参考資料としましょう。

給与階級別分布を見ると、男性は「300万円超400万円以下」が最多で、女性は「100万円超200万円以下」が最多です。

給与所得者の場合、上記の数字から税金や社会保険料などが差し引かれるため、実際の手取り額はさらに少なくなります。

参考:令和2年分 民間給与実態統計調査|国税庁 長官官房 企画課

都道府県によっても異なる

厚生労働省が公表する「地域別最低賃金の全国一覧」によると、最低賃金時間額が1,000円を超えているのは、東京(1,041円)と神奈川(1,040円)です。埼玉・千葉・静岡・愛知・三重・京都・大阪・兵庫は900円台で、そのほかの地域は800円台にとどまります。

同じ国内で最低賃金に差があるのを疑問に思う人も多いでしょう。全国の最低賃金は、労働者の生活費や企業の賃金支払い能力などを考慮して決定されます。平均賃金が最も高い東京は生活費や住居費がほかの地域よりも高く、公平性を保つために平均賃金を引き上げる必要があるのです。

なお、現在の全国平均は930円ですが、2022年度の最低賃金の目安を全国平均で時給961円に引き上げる決定がなされており、2022年10月頃に適用される見通しです。

参考:地域別最低賃金の全国一覧|厚生労働省

会社の規模が大きいほど平均給与は高い

平均年収を知って収入アップの計画を。最も給与が高いのは50代?
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

平均給与は会社の規模や資本金額にも影響されます。事業所の規模が大きく、かつ資本金額の高い会社ほど平均給与も高くなるのが一般的です。国税庁が公表する統計調査のデータを基に、会社の規模と平均給与の関係性を確認しましょう。

事業所規模別の平均給与

日本の会社は99%以上が中小企業で、大企業とよばれる企業は1%以下です。特に、従業員が20人以下(商業・サービス業では従業員5人以下)の小規模企業は、全体の80%以上を占めています。

日本は事業所の規模に平均給与が比例する傾向があります。2020(令和2)年分「民間給与実態統計調査」(以下、同調査)による「事業所規模別の平均給与」は以下の通りです。

事業所規模平均給与
10人未満347.8万円
10~29人408.3万円
30~99人408.8万円
100~499人430.9万円
500~999人464.7万円
1,000~4,999人496.5万円
5,000人以上508.7万円

規模が500人を超えると、日本の平均給与である433万円を超えることがわかります。給与アップを望む人は、規模の大きな会社に転職するのも一つの手でしょう。

参考:最近の中小企業の景況について|中小企業庁

企業規模別の平均給与

平均給与は企業規模によっても大きな差があります。同調査による「企業規模別の平均給与(株式会社)」は以下の通りです。

株式会社の資本金階級平均給与
2,000万円未満371.6万円
2,000万円以上5,000万円未満404.4万円
5,000万円以上1億円未満412.8万円
1億円以上10億円未満454.2万円
10億円以上607.6万円

株式会社は個人の事業所(平均給与249.9万円)よりも平均給与が高く、その額は資本金に比例します。平均値は数値にばらつきが出やすいため、併せて「企業規模別の給与階級別分布」も確認しましょう。

参考までに、資本金2,000万円未満の株式会社では「300万円超400万円以下」が19.7%、「200万円超300万円以下」が18.8%、「100万円超200万円以下」が16.1%を占めています。

資本金10億円以上の株式会社では「500万円超600万円以下」が12.5%、「400万円超500万円以下」が12.4%、「600万円超700万円以下」が11.8%です。