オリコの「The Gold」は、空港ラウンジとロードサービスを特徴とする1枚だ。ポイント還元率最高1.25%を実現できるこのゴールドカードの特徴について、メリットだけでなくデメリットの部分まで詳しく紹介しよう。飛行機だけでなく車での旅行も多い人は、ぜひ注目してもらいたい。
目次
1,カードの基本スペックと審査基準
2,The Goldのポイント還元率は?――ポイント還元率1.25%も実現できる
3,The Goldの5つのメリット
4,The Goldの2つのデメリット――基本の還元率がネック
5,The Goldがおすすめなのはどんな人?
1,クレジットカードの基本スペックと審査基準――空の旅でもドライブでもメリット
オリコは、年会費やサービス内容が異なる6種のゴールドカード(ビジネスカードを除く)を発行している。その一つである「The Gold」は、空港ラウンジサービスやトラベルサービス、ロードサービスが特徴だ。まずは、その基本スペックから見ていこう。
「The Gold」の基本スペック
国際ブランド | Mastercard |
年会費 | 1万1,000円(税込) ※初年度無料 家族カード無料 |
ポイントサービス | 暮らスマイル |
通常ポイント還元率 | 0.75% |
ポイント交換対象 | オリコポイント UCギフトカード マックカード など |
空港ラウンジサービス | 国内32空港 ハワイ・ホノルル 韓国・仁川 |
付帯保険 | 海外旅行傷害保険(自動付帯) 国内旅行傷害保険(利用付帯) ショッピング保険(利用付帯) |
追加カード | ETCカード 家族カード |
電子マネー | 【カード搭載】 iD QUICPay 【Apple Pay経由】 QUICPay |
スペック面で注目したいのは、カード本体に後払い式電子マネー「iD」と「QUICPay」の機能がダブル搭載されていること。2種の異なる電子マネーが搭載されているので、その分利用できる店舗も多くなる。この利用分にも、もちろん通常通りポイントが付与される。
「The Gold」だけではないが、オリコ発行のクレジットカードは、家族カードとETCカードを年会費無料で作ることができる。家族カードは3枚まで申し込むことができ、ETCカード利用分にも通常通りポイントが付与されるので、有料道路を使う機会が多い人にとっては大きなメリットになるはずだ。
審査基準・審査難易度は年収400万円が目安
申し込み資格は「原則として年齢20歳以上 安定した収入がある方」となっており、学生や専業主婦は申し込むことができない。勤続年数が短い場合(3年未満など)も審査に通りにくいだろう。
年収については、口コミ情報によると400万円以上なら審査に通る可能性があるようだ。ただし、過去にクレジットカードやカードローン、携帯電話端末代金の分割払いなどで延滞があると審査通過は難しい。
ステータス性は銀行系には及ばないものの廉価ゴールドよりは高い
オリコは信販系ということもあり、同じゴールドでもステータス性では銀行系ゴールドには及ばない。しかし年会費は1万円を超えており、いわゆる廉価版ゴールドとは一線を画すのは確かだ。
ここでは、参考までにオリコ発行の廉価版ゴールド「i Gold」とスペック面を比較しておこう。
The Gold | i Gold | |
年会費(税込) | 1万1,000円 ※初年度無料 |
3,300円 ※初年度無料 |
家族カード年会費 | 無料 | |
申し込み資格 | 原則として年齢20歳以上 安定した収入がある方 |
|
通常ポイント還元率 | 0.75% | 0.6% |
空港ラウンジ サービス |
国内32空港 ハワイ・ホノルル 韓国・仁川 |
- |
ロードサービス | ○ | |
ゴールドカード優待特典 | ○ | |
旅行傷害保険 | 海外最高5,000万円 国内最高5,000万円 |
海外最高2,000万円 国内最高1,000万円 |
ショッピング保険 | 年間最高300万円 | 年間最高100万円 |
空港ラウンジや付帯保険など、ゴールドカードとしての基本的なスペックは備えていると言えるだろう。
2,The Goldのポイント還元率、使い道は?――ポイント還元率1.25%も
オリコが発行するクレジットカードのポイントサービスには「暮らスマイル」と「オリコポイント」があり、「The Gold」では前者が貯まる。その詳細を見てみよう。
貯まるポイントと還元率は通常0.5%、実質0.75%
貯まるポイントは「暮らスマイル」で、クレジット支払い1,000円ごとに1ポイント(5円相当)が貯まる。ポイント還元率は0.5%だ。
ただし、「クラステージ」というポイント還元率アップのサービスがあり、この特別加算によって自動的に0.75%になるので、これが実質的な通常ポイント還元率になる。ポイントの有効期限は獲得時期によって変わり、3ヵ月~最長24ヵ月だ。
「暮らスマイル」は「オリコポイント」に移行することができる。「オリコポイント」の有効期限は12ヵ月なので、「暮らスマイル」から「オリコポイント」へ移行した場合、有効期限は最長3年になる。
ポイントの使い道 オリコポイント経由で各社ポイント・マイルに交換できる
「暮らスマイル」のポイントは、各種賞品やホテル宿泊プラン、ディナープラン、各種ギフト券などに交換できる。その他「オリコポイント」に交換もでき、レートは「暮らスマイル」1ポイント(5円相当)→「オリコポイント」5ポイント(5円相当)だ。
「暮らスマイル」の交換対象(一部抜粋)
ポイント交換対象 | 必要ポイント数 | 交換対象単位 |
オリコポイント | 1P | 5P |
聘珍楼 横濱本店 | 3,600P | ペアディナー2名分 |
京料理 古都梅/祇園美登幸 | 2,200P | ペアランチ2名分 |
中禅寺 金谷ホテル | 1万1,000P | 平休日ペア宿泊プラン(1泊2食付) |
伊豆長岡ホテル天坊 | 6,400P | |
ナガシマスパーランド | 3.100P | 1日フリーパス+湯あみの島ペア入場券 |
TOHOシネマズ | 400P | 映画鑑賞券1枚 |
マックカード | 450P | 2,000円分 |
UCギフトカード | 1,100P | 5,000円分 |
図書カードNEXT |
「オリコポイント」は、他社ポイント(Tポイント、dポイント、楽天ポイント、Pontaポイント、WAONポイントなど)、オンラインクーポン(Amazonギフト券、App Store & iTunes ギフトカード、Google Play ギフトコードなど)、航空マイル(JAL、ANA)などに交換できる。
ポイント還元率をアップする2つの方法 年間200万円の利用で1.25%還元に
・方法1,「クラステージ」の適用で還元率1.25%に
「クラステージ」とは、年間のショッピング利用累計金額に応じてステージが決まり、ポイント付与率が最大2倍になる仕組みのこと。「The Gold」では特別加算として、各ステージのポイントアップ倍率に加え、0.5倍分が加算されて最大で2.5倍(ポイント還元率1.25%)になる。これは、超高還元率と言える水準だ。
クラステージのステージ別ポイントアップ倍率
年間利用累計金額 | ステージ名 | ポイントアップ倍率 (還元率) |
200万円以上 | ステージ200 | 2.5倍(1.25%) |
100万円以上 | ステージ100 | 2.2倍(1.1%) |
50万円以上 | ステージ50 | 2.0倍(1%) |
50万円未満 | ノーマル | 1.5倍(0.75%) |
利用金額の集計期間は、誕生月の翌月から次の誕生月までの1年間。集計期間の途中であっても、ステージ条件を満たした段階で「クラステージ」のポイントアップが適用されるのでお得だ。集計期間が終了すると、そこから1年間のステージが確定することになる。
なお、「暮らスマイル」が貯まるカードを複数所持している場合は、その利用額の合計によってステージが決まる。
・方法2,ポイントサイト「オリコモール」を経由で最低でも0.5%加算
ネットショッピング時にポイントサイト「オリコモール」を経由すると、クレジット利用ポイントのほか、ショップごとに設定されたポイント(0.5%~)を獲得できる。ただし、ショップごとのポイントは「暮らスマイル」ではなく「オリコポイント」だ。
「オリコモール」には、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング、Apple公式サイト、ビックカメラ.com、じゃらんなど主要なショップ・サービスが登録されている。
年間200万円の利用は、月に換算すると約17万円。メインカードとして使用していれば、達成できない金額ではないだろう。
3,「The Gold」の5つのメリット――空港ラウンジ、トラベルサービス、ロードサービス、付帯保険、キャッシングなど
次に、このカードの特徴となっている4つのメリットを紹介しよう。
メリット1,国内空港ラウンジサービスが付帯 国内、韓国、ハワイが対象
国内の主要32空港、韓国・ソウルの仁川国際空港、ハワイ・ホノルルのダニエル・K・イノウエ国際空港のラウンジを無料で利用できるサービスが付帯する。国内の対象空港は、以下のとおり。
新千歳空港 | 函館空港 | 旭川空港 | 青森空港 |
秋田空港 | 仙台空港 | 新潟空港 | 富山きときと空港 |
小松空港 | 成田空港 | 羽田空港 | 富士山静岡空港 |
中部国際空港 | 関西空港 | 神戸空港 | 大阪国際空港(伊丹) |
岡山桃太郎空港 | 米子鬼太郎空港 | 広島空港 | 出雲縁結び空港 |
山口宇部空港 | 高松空港 | 徳島空港 | 松山空港 |
北九州空港 | 福岡空港 | 大分空港 | 長崎空港 |
熊本空港 | 鹿児島空港 | 宮崎空港 | 那覇空港 |
メリット2,オリコ・Mastercardのトラベルサービス
このカードでは、「オリコトラベルデスク」「トラベルデスクラウンジ」「オリコ共通トラベルサービス」「Mastercardのゴールド会員向けサービス」といった、オリコとMastercardが提供する4つのトラベルサービスを利用できる。オリコ提供のものから、順に紹介しよう。
・1,オリコトラベルデスク
海外旅行中、世界51都市に設置された海外デスクで日本語による電話サポートを受けられる。サービス内容の例は、以下のとおりだ。
観光・ショッピングに関する情報提供
・ホテルやレストラン、オプショナルツアーの案内と予約
・スポーツイベントなどに関する情報提供とチケット予約
・フライトスケジュールなどの情報提供と航空券予約
・レンタカー、リムジン送迎、観光ガイド等の予約や手配
・エステ、マッサージなどの予約
・緊急時の現地病院などの案内
・パスポートの紛失・盗難時の手続きに関する案内
・2,トラベルデスクラウンジ
ゴールドカード会員特典として、ハワイの「トラベルデスク ホノルルラウンジ」と、シンガポールの「トラベルデスク シンガポールラウンジ」を同伴者4名まで無料で利用できる。ラウンジでは、ソフトドリンク無料サービスが提供される。
・3,オリコカード共通のトラベル優待
その他、オリコカード共通のトラベル優待として以下を利用できる。
サービス名 | 内容 |
海外オリコパッケージツアー 割引サービス |
各旅行会社のパッケージツアーが 同行者分も含めて3%~最大8%オフに |
国内オリコパッケージツアー 割引サービス |
各旅行会社のパッケージツアーが 同行者分も含めて3%~最大5%オフに |
海外レンタカー予約サービス | ハーツレンタカーが5%オフ ダラーレンタカーが15%オフに |
国内レンタカー予約サービス | ニッポンレンタカー約5%オフ 日産レンタカー、オリックスレンタカー、 タイムズカーレンタル5%オフ 三菱レンタカー20%オフに |
手荷物宅配サービス | 空港-指定場所間の手荷物宅配が 成田空港で10%オフに 関西空港で100円引きになる |
トラベラーズWiFi | 海外用WiFiレンタルが5%オフに |
海外お土産宅配サービス | 海外旅行のお土産を事前に注文しておき、 帰宅のタイミングに合わせて届けてくれる サービスで全品15%オフに |
・4,Mastercardのゴールド会員向け優待
オリコのトラベルサービスだけでなく、国際ブランドMastercardがゴールド会員向けに提供する優待も利用できる。海外用携帯電話・WiFiレンタルサービスの優待価格や、空港クローク(防寒具など一時預かり)の優待価格、国際線手荷物宅配の優待などがある。
いずれも、海外旅行をより便利でお得にしてくれるサービスだ。
メリット3,ロードサービスが無料で付帯する
24時間365日対応のロードサービス「ゴールドカードロードサービス」が、会員本人のクルマに加え、同居の家族のクルマにも付帯する。無料緊急処置サービス、レッカー無料、遠隔地トラブルサポートの詳細は以下のとおり。
・無料緊急処置サービス
以下の各トラブルについて、無料の緊急処置が提供される。
バッテリー上がり
・鍵閉じ込み
・パンク
・ガス欠
・ボルト締め付け
・各種バルブ・ヒューズの交換
・サイドブレーキの固着
・各種オイル漏れ 点検・補充
・冷却水補充
※30分程度の緊急処置作業が無料、部品代・ガソリン代・オイル代などは無料サービスの対象外
・レッカー無料サービス
クルマが故障や事故によって自力走行できなくなった場合、レッカー車が手配され、最寄りの修理工場までけん引してもらえる。こちらは10kmまで無料。
・遠隔地トラブルサポートサービス
自宅(クルマの通常保管場所)から直線距離で100km以上離れた場所で、故障などのトラブルによってクルマが自力走行できなくなった場合、対応サービスを利用するための金額が補償される。対象となるサービスと補償金額は、以下のとおり
サービス名 | 支払い金額 | サービス内容 |
帰宅費用 サービス |
1名につき 2万円限度 |
24時間以内に帰宅する必要がある場合に 代替交通手段の手配が行われる。 同乗者全員分の帰宅費用が支払われる。 |
宿泊費用 サービス |
1名につき 1万5,000円限度 |
帰宅の手段がなく宿泊が必要な場合に 宿泊の手配が行われる。 同乗者全員分の宿泊費用 (1泊分)が支払われる。 |
車両搬送費用 サービス |
5万円限度 | 修理後のクルマについて、 自宅までの搬送費用が支払われる。 自分で引き取る場合は、引き取り時の 片道分交通費(本人分のみ)が支払われる |
なお、事故の場合は対象外だ。日常的に自動車を使う人にとっては、いざというときの心強い味方になるはずだ。
メリット4,最高5,000万円の海外・国内旅行傷害保険、年間最高300万円のショッピング保険が付帯
このカードには、ゴールドカードにふさわしい補償額の海外・国内旅行傷害保険と、ショッピング保険が付帯する。
・旅行傷害保険は海外・国内とも最高5,000万円
海外旅行傷害保険は、旅行代金のクレジット払いの有無に関わらず適用される(自動付帯)。国内旅行傷害保険は、旅行代金をクレジット払いした場合だけ適用される(利用付帯)。補償額などの詳細は、以下のとおり。
海外旅行傷害保険(自動付帯)
保険項目 | 補償額 |
死亡・後遺障害 | 5,000万円 |
傷害治療費用 | 200万円 |
疾病治療費用 | 200万円 |
携行品損害 | 100万円 (免責:1事故3,000円) |
賠償責任 | 2,000万円 |
救援者費用等 | 200万円 |
国内旅行傷害保険(利用付帯)
保険項目 | 補償額 |
死亡 | 5,000万円 |
後遺障害 | 5,000万円 |
・ショッピングガード(ショッピング保険)……年間最高300万円
カードで購入した商品が、購入日から90日以内に破損や盗難、火災など偶然の事故で損害をこうむった場合に、年間最高300万円まで補償される(免責金額:1品につき1万円)。
メリット5,キャッシングの金利が低い
最後にメリットとして挙げたいのが、キャッシング金利の低さだ。多くのクレジットカードのキャッシング金利(実質年率)は18.0%だが、このカードでは15.0%と低く設定されている。
急に現金が必要になった場合や、海外旅行の際は他のクレジットカードよりもお得感を味わえるだろう。
4,「The Gold」の3つのデメリット――年会費、国際ブランド、基本の還元率がネックに
「The Gold」に申し込む前に、デメリットも確認しておきたい。
デメリット1,年会費が比較的高い
1万1,000円(税込)の年会費は、ゴールドカードとしては一般的だ。しかしオリコには、年会費が3,300円(税込)の「i Gold」などの廉価版ゴールドカードがあり、比較すると高い印象は否めない。
空の旅の回数が多くなく、空港ラウンジサービスや旅行傷害保険の補償額があまり重要でない場合は、年会費がより安いゴールドカードを検討してもいいだろう。
デメリット2,国際ブランドはMastercardのみ
基本スペックの表にもあるように、このカードで選べる国際ブランドはMastercardのみだ。Mastercardは加盟店が多く、国内でも海外でも、使えなくて困るといったことは少ない。しかし、すでにMastercardブランドのカードを持ち、今度は他の国際ブランドのものを持ちたい場合は、申し込みをためらってしまうかもしれない。
デメリット3,基本の還元率が低い
「The Gold」のポイント還元率は最大1.25%だが、基本は0.5%(実質0.75%)と高いほうではない。よってポイント還元率を意識するなら、このカードをメインカードとして使うべきだ。逆に言えば、サブカードには向かないということになる。
5,「The Gold」はどんな人におすすめ?空の旅もクルマの旅も多いなら
ここまで見てきたように、「The Gold」は空の旅やクルマの旅が多い人におすすめの1枚と言える。ポイントの交換先にレジャー・宿泊関連が多いことも、旅が好きな人にはメリットになるだろう。ETCカード利用分にも、しっかりポイントが付与されるのもうれしい。
ただしデメリットのところでも触れたように、基本のポイント還元率はあまり高くないので、メインカードとして使い、毎年200万円以上のクレジット利用を目指したい。そうすれば、年会費相当のメリットを得られる1枚になるはずだ。
執筆・モリソウイチロウ(ライター)
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカード分野では専門サイトでの執筆経験もあり。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。
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