待望の29cmヤマメ登場
反応がない時間が続き、遡行を始めて1時間ほど経ったころにとあるポイントが気になりました。分流から2つの速い流れが岩盤の上で交差して、その真ん中の流れがやや緩くなっていました。距離は約3m 先。もしかしてと6gのシンキングミノーを投げ込んでトゥイッチをかけた瞬間、ロッドティップが孤を描き、水面付近を銀鱗が踊っていました。
ヤマメの特有のローリングに加えロッドに伝わる重量感はこの沢のアベレージである 8 寸(24cm)を 超えていました。無事にランディングし計測すると29cm、あと1cm足りません。やや銀毛がかった太い素晴らしいヤマメでした。手早く撮影し、ヤマメを流れに返す。

ビッグヒットもバラし
今日はいけるかもと遡行の足取りは心なしか軽いものでした。倒木を超え、気になるポイントを見つけたらキャストを繰り返しアベレージサイズである 24cm強と5cmほどの”ヤ豆”もスピ ナーでキャッチ。大型だけでなく小型もしっかり居るのはこの沢が豊かな証拠です。
程なくして幅4m、長さにして6mほどある淵に辿り着きました。ここは毎回大型が出て居るので、すかさずミノーをキャスト、底層まで沈めリトリーブを開始して間も無く強烈なバイトが到来。と思いきや、すぐに外れてしまい「やってしまった」と、苦笑い。
気持ちを切り替えてミノーからスプーンの7gに交換し、すかさずキャスト。同様に底まで沈めスローなただ巻きでロッドアクションは一切なし。ミノーとは全く別のアプローチでもう一度反応を引き出すことができます(毎回ではありませんが……)。思った通り再びロッドに重みが乗りましたが、先ほどの泣き尺と比べてもいくらか軽い。ランディングして測ってみると27cm。十分 な釣果であることにはかわりないものの少々落胆しました(なんて贅沢な)。

ついに尺ヤマメ堂々浮上
ここまでの釣果は 29cm、27cm、24cm、豆サイズx2と、激戦区の河川ならこれ以上ないほどの 結果ですがこの沢のポテンシャルはこの程度ではなく、またこの先に好ポイントがいくつもあるので気を取り直し上流へ。しばらく小型からの反応をかわしながら遡行とキャストを繰り返していると、とあるポイントに辿り着きました。
上流からの流れが対岸の岩盤にぶつかりちょっとした深みを形成していて、深さにしておおよそ膝上あたり。過去に実績のあるポイントではないもののスルーする理由もないので、岩盤にぶつかって発生している白泡に5gのシンキングミノーを投げ込みボトムを軽く跳ねるようにトゥイッチをかけていると、突然ロッドに重みが乗り、水面が爆発しカーディナル 33 のドラグがジリジリと鳴り始めました。
ドラグ設定は尺イワナクラスで効くように設定しています。グネグネとイワナのような重みだったのでイワナかと思いきや、紅みのある背中に黒点が見えた時点で尺ヤマメと確信。慌てずにランディングネットを手前に取り出しヤマメをネットに誘導。ネットインした時の重みがそれまでのヤマメとはまるで違うずっしりとした重みでした。
魚体を水に浸しながら素早くフックを外し計測すると、待望の31cmでした。思わず静かにガッツポーズし魚体を眺めます。落ちかけた鼻に厚い顎、太々しい目付きと立派な体高。角度をかえて見ると秋色に染まりつつとても美しい魚体。手早く撮影してリリースすると勢いよく流れに帰って 行きました。
