荒川河川敷の観光ハイライト登場!
そんな荒川河川敷ですが「ただ自転車漕いだり、歩いたりするのもいいが、何か観光の目玉になるものはないのか?」とご不満のあなた!ありますよ、ちゃんと!それがこちらです。

赤羽の岩淵水門です。この赤いのが赤水門と言われる旧水門で、、、

こちらが青水門と言われる新水門です。荒川は河口から22km(赤羽~海)は人口で作られた川(荒川放水路)だったということをご存じでしたか?荒川とは名前の通り「荒ぶる川」として昔から台風や大雨でたびたび氾濫し、人々に大きな被害を与えていました。もともと荒川は今の隅田川に流れていたのですが、隅田川沿いの町は約10年に一度くらいのペースで氾濫し、特に明治43年の大水では周辺に壊滅的な打撃を与えました。そこで赤羽の岩淵に水門を造り、本流の東側に放水路(現在の荒川)を堀り、増水した際には水門を閉めて隅田川に水が流れないようにしたのです。このおかげで隅田川は水門建設以降、一度も氾濫することなく住民の生活を守っているのです。

(出展:国土交通省関東地方整備局荒川下流河川事務所)
この放水路掘削と水門建設には約20年という月日を費やし、水門は大正13年に完成しましたが、今ほど機械化が進んでいない当時、多くを人力で行いそれはそれは大変な事業だったそうです。その後、赤水門は老朽化により役目を終え、昭和57年に新しい青水門が造られました。

こちらが空撮写真です。(出展:国土交通省関東地方整備局荒川下流河川事務所)
この水門のそばに「荒川知水資料館」という建物があります。ここには荒川、水門の歴史が展示され、無料で見学することが出来ます。
青山士(あおやまあきら)氏という人物
資料館の中でも水門建設に関わった青山士(あおやまあきら)氏に関する展示はぜひ見てもらいたいところです。青山士さんは日本人で唯一パナマ運河工事に携わった人物です。大学卒業後単身渡米し、生死の境を彷徨うほどの大変な苦労をして工事に尽力し8年後に帰国した後、内務省に入省し荒川放水路と水門建設の指揮を執りました。また彼は敬虔なクリスチャンでもあり、無教会主義で知られる内村鑑三氏の影響を強く受け、私利私欲に走らず広く人類の為となる仕事をしなければならないという信念を持っていたそうです。水門の傍には今も記念碑があり、そこには自分の名前を入れるのではなく「我等ノ仲間」と彫られていることからも私心のない人物だったと分かります。青山さんは退官後、出身地の静岡に戻り余生を送っていたそうですが、大水の時には夜行列車に飛び乗って荒川までやって来て川の様子を見守っていたそうです。

荒川知水資料館。本来であれば「治水」でしょうが、敢えて「知水」となっています。納得です。
青山さんのコーナーにはパナマ運河工事から帰国した時に持っていたカバン等が展示されています。

入館無料ですが、見ごたえ十分です。土日祝日にはボランティアガイドさんの説明を聞くことも出来ますよ(無料)。

荒川の河川敷で自然に包まれ、風を感じ、広大な風景に心癒され、リフレッシュする休日を過ごすことができる。それもこれも昔からたびたびの水害に悩まされた川沿いの町をなんとかしなければ、という先人たちの計り知れない努力と苦労の上に成り立っているということを知りました。
<荒川知水資料館>
開館時間:9:30~17:00(入館は閉館時間の15分前まで)
(※但し、12・1・2月の閉館時間は16:30、7・8・9月は17:30)
入館料:無料
休館日:原則として毎週月曜(祝日を除く)、祝日の翌日、お盆、年末年始
住所:東京都北区志茂 5-41-1
交通手段:
・JR埼京線・京浜東北線・高崎線 赤羽駅東口より徒歩約20分
・地下鉄南北線赤羽岩淵駅または志茂駅より徒歩約15分
・専用駐車場はありません。