女性の政界進出の障害
女性議員増加が遅々として進まない要因はどこにあるのか。ここでは、この問題に身近に接している立場ならではの意見に注目してみよう。
Mr. Aは2点を挙げる。一つは、「女性自身が手を上げないこと。手を挙げようという教育は進んできているので、あとは手を挙げていいよ、チャレンジしなさいよという社会環境」づくりの必要性である。
次に「ロールモデルが少なすぎる」点だ。「女性議員のロールモデルがいないため、女性が自ら(政界に)チェレンジしようという機運が生まれにくい。女性候補者にしても、こちらから出馬を要請しても皆躊躇する。それはロールモデルがないので、自分が政治家になった時の姿が想像できないからではないか」と同氏は続ける。
Mr. Dは、女性の活躍を抑制する日本社会の仕組みを問題視する。政界が「女性が出にくい、あるいは女性が参画しづらい業界だということは間違いのない」現実であり、女性の参入を阻むのは、「お金の問題よりも働き方の問題」だと指摘する。
たとえば、政界では「24時間365日政治活動、選挙活動をしろと言われ、夜に『会合してるから来い』と呼び出されることも」珍しくない。だが、「子育てや親の介護をしていたら、夜の10時に家族を放っておいて出て行って飲み会に行くなんて、出来ない」相談なのである。
Mr. Dによれば、こうした働き方は、政治に限らず、日本社会に浸透する「戦後のモデル」である。「誰かをケアするという仕事を全部女性とか主婦に押し付けて、これは政治家だけじゃなくてサラリーマンも同様で、男性はフリーハンドにして、そのエネルギーを会社とか職場に全て投入出来るように環境整備してきたのが戦後の日本社会」であり、「ケアすることを一身に負わされてきた」のが女性だ。つまり、女性の出馬は「構造的に難しい」のである。
女性の政界進出を促す提案
Mr. Jは、「今の日本の権力構造は、年を重ねたベテランの男性に全部権力が集中していて、若い男性も女性と同様に権力に与っていない」一方、権力が「一足飛びに女性には落ちてきそうにはない」ので、「ベテランから若手へ、若手から女性へと、『二段階右折方式』で進める」のが現実的だと考える。Mr. Jの提案は、女性と若手男性連合による権力奪取といったところであろうか。
以上の男性議員諸氏の見解、実に興味深く、示唆に富む。もっとも、そう思うのは面談をした私の贔屓目かもしれないが。
文・衛藤 幹子/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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