引き続き、12人の国会議員へのジェンダーに関するインタビューの抜粋である。12人のプロフィールは8月4日の投稿を参照していただきたい(念の為以下に再掲する)。

今回焦点を当てるのは、女性の政界進出をめぐる男性諸氏の見解である。
(前回:12人の国会議員、ジェンダーを語る②)
女性議員を増やすべき理由
なぜ女性議員を増やす必要があるのか。Mr. Hの理由は、身近な経験に基づくものだ。同氏の妻Ms. Wは2019年参議院選に氏の地元Z県より初出馬した。Mr. Hも彼女の応援のためZ県内を回ったが、行く先々でこれまで20年近いキャリアを持つ自分の選挙では聞くことのなかった女性有権者の率直な声を耳にした。
Mr. Hは、女性問題を疎かにしたつもりはなかったが、妻の選挙を支えるなかで、彼女の言葉が「女性有権者の心の扉をどんどん開いていくの」を目の当たりにした。彼自身にはできなかったことだ。
妻の出馬により「初めて応援したい人が出てきた」、家長である夫が一家の投票先を決めるという保守的な風習のなかで「今回は誰の言うことも聞かず、自分の考えでMs. Wを応援したい」など、女性有権者を惹きつける妻の「強い吸引力」に驚かされた。女性なら誰でも良いわけではないが、女性の切実な声を掬い上げられるのはやはり女性議員ではないかと、Mr. Hは感じている。
一方、Mr. Fの意見は、「女性が政治に参画してもらわないと世の中は変わらない」、「お願いですから参加してくださいとか、女性の側が私たちを参画させろとか、そういう議論は違うんじゃないか。女性が参画して世の中を変えることは、この国にとって絶対に必要なこと」と、明快である。
しかも、Mr. Fは、以前ある女性局長から聞いた話から、1割、2割では逆効果になることを知り、女性議員比率にも踏み込む。女性局長によると、「女性が1割しかいないと、彼女たちは男性に気に入られ、受け入れられるような意見を言いがちになる。にもかかわらず、それが女性全体の考えだ、女性の声を反映したと思われるのは大迷惑で、そんなことならいないほうがいい」のである。したがって、Mr. Fは、「法律によって、女性が世の中に占める数に見合った議席を得られるようにすべきではないか」と考える。