プライドや正義感より命が大事

世の中にはプライドや正義感のために、危険な人物の被害を受けてしまうケースがある。

先日、Yahooニュースでマスクをしていない人を注意した人物が、相手から返り討ちにあって半身不随になったという記事が出た。事件が起きた時期を見ると、コロナの感染拡大の只中であり、「マスク警察」というキーワードが流行っていたタイミングだ。その時期に外出先でマスクをしていない人を見て、思わず正義感から注意してしまったのだろう。だが、筆者から見れば注意したくなる対象というより、あまり近づきたくないと思える対象に感じられる。

また、20代前半の頃に阪急宝塚本線の電車で席に座って寝ていたところ、「若いくせに老人に席を譲れ」と起こされ叱られた。その後は半ば強引に座席を奪われる経験をした。それ以来、混雑しそうな電車やバスは、最初から席に座らずに立つようにしている。

こちらが間違っていないことに、見知らぬ人から叱られば誰しもカチンと来るだろう。街中でルールを守っていない人を見れば、腹も立つかもしれない。だが、そんなプライドや正義感を通そうとして、危険な人の怒りを買えば、今度は自分の命が脅かされる危険性がある。感情に任せて争いごとに応じれば、失うものはあまりにも計り知れない。リスクの大きさは甚大だが、リスクに見合うリターンが皆無である。リスクリワードの悪い勝負は仕掛けてはいけないのだ。

警察庁の統計によると、日本からは犯罪が減り続けており、ドンドン平和になっている。「最近はぶっそうになって」という肌感覚は統計的に否定される。だが、それでも危険な人は平和な現代日本に依然として存在している。そうした人と偶然にエンカウントし、不幸にも相手からの一撃を受けないためにも見知らぬ人ほど丁寧に接した方が良いと思っている。

文・黒坂 岳央

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文・黒坂 岳央/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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