背痛の発症を防ぐ方法とは?

これらの先行研究から、背痛を予防・緩和するための「よい姿勢」というのは存在しません。

背骨の形や大きさは人それぞれなので、身体が心地いいと感じる姿勢には、どうしても個人差が生まれます。

また、背中に限らず、身体の健康には「運動」が重要ですから、特定の”心地よい姿勢”に固執するよりも、いろいろ動かしてみる方が効果的です。

加えて、研究チームは、次のような健康状態が悪化すると、並行して、背痛も起きやすいことを指摘しています。

・ストレスを感じている

・気分が落ち込んでいる

・疲労感や倦怠感が高まっている

・睡眠の質が悪く、時間も足りていない

・日中の活動量が少ない

それから、次の2点に思い当たる節があるなら、背痛が長引きやすくなる可能性があります。

・背痛を過度に心配して、不安がる

・背中を保護しようとし過ぎて、適度な運動や身体活動、社会との関わりを避ける

背痛はときに、骨折や悪性腫瘍、感染症、神経圧迫といった重い病気が原因で起こることがあり、これに関しては、医療機関での受診が必須です。

しかし、その割合は全体の1〜5%に過ぎず、残りの95%以上は、背中の組織に識別可能な損傷がなく、何らかの重い病気とも関係していません。

これらの人々の背痛は、「よい姿勢」を守ろうとし過ぎたり、心身の疲労やストレスが原因になっていることがほとんどです。

背中は自由に動かした方がいい
Credit: canva

そこで研究チームは、背痛の予防・対処の方法として、以下の点を心がけるよう促します。

・日常的に背中を動かして、筋肉をリラックスさせる

・自分の好きな(体が心地よいと感じる)運動を定期的に行う

・健康的な睡眠習慣と体重を維持する

・精神的な疲労感やストレスを溜め過ぎないようにする

これらのことを守れば、大抵の背痛は発症を防ぐことができるでしょう。

参考文献
The Relationship Between Posture and Back Pain Isn’t What You Think

元論文
Exploring lumbar and lower limb kinematics and kinetics for evidence that lifting technique is associated with LBP