クスンダ語を絶滅から救うことはできるか?

クスンダ語の最後の話者であるカマラ・カトリさんは、クスンダ語が周囲から差別的に見られたり、社会では役に立たないことから、自分の子どもにはクスンダ語を教えず、ネパール語を学ばせたといいます。

しかし今では、「自分たち本来の言葉で子どもと会話できないことを後悔している」と話します。

そこでカトリさんは現在、ネパール言語委員会と協力して、地元住民10名を生徒にクスンダ語を教えているという。

「定期的に練習し、話したり、歌を歌うことができれば、この先も私たちの言語を守り続けることができるかもしれません」とカトリさんは言います。

また、ネパール言語委員会は2019年から、ネパール西部・ダーン郡にて、クスンダ語を守るための言語教室を運営し始めました。

自身もクスンダ族である18歳の女性、ヒマ・クスンダ(Hima Kusunda)さんも教室に参加している生徒の一人です。

ダーン郡に隣接するピュータン郡の出身であるヒマさんは、2年前からクスンダ語を学んでおり、今では基本的な会話までできるようになりました。

「ノー」が存在しない!ネパールの少数民族が使う「クスンダ語」とは
(画像=クスンダ語を子供たちに教えている様子(ヒマさんのユーチューブチャンネルより) / Credit: Hima Kusunda intertenment(youtyube, 2022)、『ナゾロジー』より引用)

ヒマさんは、こう話します。

「ダーンの教室に参加する前は、クスンダ語をまったく話せませんでした。しかし、今はクスンダ語を学べることを誇りに思っています。

この言語を守ることは、私にとっても、他の人にとっても大切なことだと感じています」

ヒマさんは将来、語学の教員免許を取得して、クスンダ語を子どもたちに教えたいと考えているそう。

クスンダ語の未来を守る取り組みは、すでに始まっているようです。


元論文

The language that doesn’t use ‘no’


提供元・ナゾロジー

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