前回に続き、12人の国会議員にジェンダー平等について行ったインタビューの抜粋である。12人のプロフィールは前回の投稿を参照していただきたい。12人はいずれも女性有権者の声に真剣に耳を傾け、立法や政策として具体化することは容易ではないものの、その声に何とか応えようとに懸命に努力していた。
なかでも、私がその実行力に驚かされたのが、3人の女性議員であった。今回は、この3人に的を絞り、彼女たちが女性の利益やジェンダー平等のためにいかに行動したのか、その活動の一端を紹介したい。

— Ms. C、ランドセルのために奮闘す
まずは、ブルドーザー(?)のような行動力で、困窮家庭の小学校新1年生が真新しいランドセルを背負って入学式に出席できるようにしたMs. Cである。発端は、家計の逼迫により入学を控えた子どものランドセルが買えないというシングルマザーの訴えを聞いたことだ。
困窮家庭には確か就学援助費が支給されるはず、調べてみると、この制度は入学後に適用されるため、入学式には間に合わないことがわかった。Ms. Cは、「他の子はピカピカのランドセルなのに、なんで自分はリュックサックなんだろという子どもの戸惑いや、自分の離婚のせいで子どもに辛い思いをさせると感じる母親の自責、惨めさはいかばかりか」と彼女たちの苦しい胸の内を慮る。
何とか就学援助費を入学前に支給できないものか、幾度も文科省に足を運んで担当者と掛け合い、長いやり取りの末、支給要綱に「就学予定者にも支給できるという一文を入れる」との解決策が見つかった。
ところが、支給金は国と市町村が折半で負担するため、市町村にも予算措置を取ってもらわなければならない。Ms. Cは自分の選挙区のX県内にある市町村を一つひとつ訪ね、協力を要請した。結局4年も要したが、県内54市町村全てで実現されるに至ったのである。
— Ms. B、国交省に提言書を渡す
母親になったことでMs. Bは、女性や子育て中の若い親にとって不便の多い公共施設が気になるようになった。
たとえば、公衆トイレの個室内のベビーキープ、「必ずお母さんお父さんの手届く所」でなければならないのに、「どう考えても手が届かない所に設置されている」うえ、設置場所も不便で、「全くユーザー目線じゃない」のである。その横に手洗い器でもついていようものなら、子どもの格好の遊び道具になって、そこら辺が水浸しになってしまう。さらに、ドア内側の洋服などを掛けるフックの位置も、身長の低い女性や腕の上がり辛い高齢者には高すぎる。
こうした使い勝手の悪さは、「男性が中心の設計」だったためではないか、とMs. Bは考える。折りしも「道の駅女性駅長会」に出会い、そのメンバーとともに駅のトイレの改善に取り組むことになった。
利用者の多様なニーズを熟知した女性駅長たちと議論を重ね、バリアフリーや子育てに優しいトイレなど具体的なアイデアを盛り込んだ提言書を作成し、国交省に渡した。幸いにも、改訂された公共施設運用指針のガイドラインに取入れられることになった。