呼吸の目的
では呼吸の一番の目的が何かといえば、それは酸素を運ぶことです。これはあまり知られていないことですが、私たちが食べたものは色々な酵素と化学変化を起こして最後はクエン酸回路という中に入って電子に変わります。その電子は電子伝達系という場所に渡されるのですが、呼吸によって届けられた酸素が電子伝達系で電子と反応をしてエネルギーが作られます。
ここで大切なポイントが2つあります。一つはきちんと酸素が電子伝達系まで届けられるかどうか。もう一つは電子伝達系がきちんと動いているかどうか。何かしらの事情でこの2つの機能が落ちていると、エネルギーが効率的に作られていない状態のため、疲労が溜まりやすかったり、体調を崩しやすかったり、パフォーマンスが落ちたりしてしまいます。どこか調子が悪いなと感じた時、たくさん栄養素を摂ってみたり、色んなコンディショニング法を試してみたりしますが、根本をたどっていと意外にも呼吸という要素に問題があって、電子伝達系が効率よく機能していないということがあります。
なぜ私がこのように考えるようになったかと言いますと、私は4年に一度コンテストに出ることにしていて、私なりの限界ギリギリの減量をしています。そのことによって、自分自身の身体でどのようなことが起きているかをとても身近に体感することができるのです。毎回テーマを設けて減量に臨み、呼吸への意識を高めて減量を行ったとき、そこで改めて呼吸の重要性に気づかされました。
呼吸力を上げるには
それではどのようにすれば呼吸力を上げることができるのかについてです。みなさんも高地トレーニングという言葉を聞いたことがあると思いますが、これは酸素が少ない場所でトレーニングをすることで、赤血球の数を増やし、平地に戻ったときによろよいパフォーマンスを発揮するというものです。高地トレーニングの科学的な研究はずいぶんと進んでいて、もちろん大きな効果があるトレーニングなのですが、一方で身体に対して負荷が大きいという側面もあります。さまざまな事情から高地トレーニングは短期間で行わざるを得ない場合が生まれますが短期間で赤血球の数そのものは増えてもひとつひとつの質が落ちてしまうのです。トップアスリートのように定期的に、またある程度の期間高地トレーニングを行う環境にいられれば話は別ですが、一般の人にとって「高地トレーニング=赤血球を増やして呼吸力を上げる」というのは現実的とは言えません。
そこで考え方を変えて、赤血球の数を増やすのではなく、「赤血球の質を高める」。これが私たちにとって現実的な方法でしょう。赤血球の質を高めるには、いくつかの栄養素がキーポイントになります。次回は赤血球の質を高める栄養素についてお話しします。
提供元・FITNESS LOVE
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