コンディショニングにおいて、サプリメントを使って局地的なアプローチを続けることはもちろん大事ですが、もっとそれ以前の基礎の部分に目を向けることも大事。そこで、人間が絶えず続けている“呼吸”に焦点を当てたコンディショニングを今回から3回に分けて紹介します!
文:Woman’sSHAPE編集部
桑原 弘樹(くわばら ひろき)
桑原塾 主宰。スポーツサプリメント『パワープロダクション』の産みの親。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&トレーナー協会)PDA。武藤敬司氏率いるW-1(レッスルワン)コンディショニングコーチ。国内外のトップアスリートに対して独自のコンディショニング指導を行い、各種スポーツ誌への執筆や講演会を実施するなど多方面にわたって活動中。
“呼吸”は身近すぎて意識しにくい
呼吸は生まれた瞬間から死ぬまで続けているもので、そのことからもどれだけ人間にとって必須なものかが分かると思います。しかしあまりに身近すぎるものなので、呼吸に対して意識を高く持っている人はあまり多くないかもしれません。その一方でマラソンランナー、登山家、ダイバーの方々は呼吸に対して高い意識を持っています。彼ら(彼女ら)のように、時にはトレーニングや運動のパフォーマンスを上げるために呼吸というキーワードで色々なものを見直すことも必要かもしれません。
吸う息、吐く息、努責
呼吸は大きく分けて吸う息、吐く息、怒責(どせき)の3つに分けられます。吸う息は基本的に力が抜けてリラックスした状態になり、吐く息は自分が意識している部位に力が入ります。
例えばウエイトトレーニングでも息を吸いながら力を入れることはないですよね。また緊張している時に深呼吸しなさいと言われるのは、息を大きく吸うことで身体を弛緩させることを目的ににしています。このようにトレーニングやそれ以外の場面においても我々は自然に吸う息、吐く息を利用していることが分かるでしょう。
では、怒責とは何か。これは息を止めた状態で、全身に力が入ります。我々が怒責を目にする場合の一つに相撲の立ち合いがあります。立ち合いの時、力士は息を大きく吸って、息を吐きながら土俵に手をつき、行事の掛け声と共に怒責の状態でお互いにぶつかり合います。どちらも努責の状態だから200kg近い人間同士が衝突し合えるわけです。このように我々は漠然となんとなく呼吸をしているようでも、それぞれに特徴があって日々の生活の中で使い分けているのです。