オスでもありメスでもある奇妙な鳥が発見されました。
9月28日に「カーネギー自然史博物館」が発表した情報によれば、体の右半分がオスで、左半分がメスの鳥類を発見したとのこと。
いったいどんな仕組みで、1羽の鳥に2つの性別が同居してしまったのでしょうか?
同じ個体に雌雄が同居する
アメリカ大陸に分布する鳥類「ムネアカイカル」は他の鳥類でも見られるように、オスとメスで羽の色が異なります。
オスの羽の内側は鮮やかなピンク色をしていますが、メスは同じ部分が黄色になっています。
しかし今回発見された個体は、右側の羽が雄を示すピンクである一方、右側の羽が雌を示す黄色だったのです。
これは1羽の中に左右で異なる性別が同居していることを示しています。
このように1個体にオスとメスの両方の特徴が混在することを専門用語では「雌雄モザイク」と呼びます。
同じような雌雄モザイクは鳥類以外にも、エビやカニなどの甲殻類やクワガタなどの昆虫にも、みられることが知られています。
しかし哺乳類では中心線で綺麗に別れるような、厳密な意味での雌雄モザイクは確認されていません。
いったいなぜなのでしょうか?
雌雄モザイクが起こる原因
鳥類において雌雄モザイクが生じる原因は、上の図のように2つの核を持つ異常な卵細胞に2つの精子が同時に受精することで発生します。
鳥類の性染色体は哺乳類のXY型(XYがオスでXXがメス)と異なるZW型であり、ZZがオスでZWがメスになります。
この異常な受精が発生すると、1つの受精卵に2つの異なる性を持つ細胞(ZZのオスとZWのメス)がうまれ、細胞分裂が進行すると、片方が右半身となりもう片方が左半身となります。
このとき、右半身と左半身は異なる精子に由来する状態にあり、性別だけでなく遺伝子も別人(兄弟レベルの近さ)のものになります。
一方、哺乳類の場合は、体の性別は性腺から分泌され全身に影響するホルモンによって一括支配されているために、同じような現象が起きても性別が曖昧になるだけで、左右で綺麗に分かれることはありません。
代わりに人間を含めた哺乳類では、性腺のY染色体に異常があって働かなかった場合、男性型(XY)の遺伝子を持っていながら、外見上は完璧な女性になることがあります。