謎に包まれていた魅力の本質が解明されました。
オランダのライデン大学で行われた研究によれば、異性に魅力を感じるかどうかは、鼓動と手汗のにじみ出るパターンの同期に依存していたとのこと。
生理的反応を相手と同期させ感情をコピーする能力が、魅力の正体のようです。
研究内容の詳細は11月1日に『Nature Human Behaviour』に公開されています。
目次
鼓動と手汗のにじむタイミングの同期が第一印象を魅力的にすると判明!
魅力の本質は機敏な生理的同期にある
鼓動と手汗のにじむタイミングの同期が第一印象を魅力的にすると判明!
魅力の正体は古くから謎でした。
原因は個人が感じる主観的な魅力と客観的な美の不一致です。
高レベルの美男美女が魅力的であるとされるのは確かですが、美しさのレベルと個人が感じる魅力は必ずしも一致しません。
そして観賞ではなく自分が実際に付き合う相手となると、人間はしばしば美しさよりも他の魅力を重視します。
美は遺伝子の健康さを示すバロメーターであり、重視される要素でありながら、決め手にはなりません。
そこで今回、ライデン大学の研究者たちは魅力の正体を確かめる、無謀かつ歴史的な試みに挑戦しました。
研究はまず、140人の男女を無作為に組み合わせて「初対面でデート」をさせることからはじまりました。
参加者の全員はデートをしている間、心拍数や手汗の量など生理的なデータが測定され、視線追跡機能のあるメガネの装着が求められました。
デートの時間は合計で4分間。そのうち前半の2分は会話が許されましたが、後半2分は会話ナシの、顔の表情やジェスチャーによる非言語的接触に限られました。
そしてデートが終わると参加者は相手の魅力を10段階で評価するよう求められ、最後にもう一度、デートしたいかどうかを尋ねられました。
結果、鼓動の増減と手汗の増減といった生理学的反応が同期した相手に対して、人間は最も魅力的だと判断すると判明。
さらに双方が2回目のデートを望む率は、鼓動と手汗の同期がみられた男女では17%となり、同期しなかった男女に比べて圧倒的に高いことも判明します。
つまり、はじめての出会いから2回目のデートにつながるかどうかは「魅力の高さと連動した生理的カップリング」の影響下にあることが示されました。
恋愛を試みた人ならば誰もがつまづく2回目のデート。
これまでの「デート学(人文学)」においては、表情や視線、ジェスチャー、服装を同期させることが魅力を高めると言われていましたが、初対面でのデートは、これらの同期は重要ではありませんでした。
問題は、その理由です。
なぜ鼓動や手汗といった生理的な現象の同期が魅力の高さと連動し、2回目のデートの成立を促したのでしょうか?
魅力の本質は機敏な生理的同期にある
なぜ鼓動や手汗の増減の同期が、魅力を高める主因になったのか?
その答えを研究者たちは、人間関係の構築そのものが、無意識や本能、自律神経の土台の上に成り立っているからだ、と考えました。
つまり魅力的な相手だから鼓動や手汗の同期が起こるのではなく、生理的同期をする能力そのものが魅力の本質だと言う考えです。
最新の生理学では、人間は他人の笑顔、赤面、瞳孔の拡大を知覚すると、他人と感情を同期させる自動調節機能を持っていることが判ってきました。
そのため研究者たちは、相手の生理学的反応を機敏に察知するような自動調節機能が高い人間の場合、自分の反応を相手の生理的反応に同期させることが可能であり、同期は心地よさやリズム感、感情の一致となって、最終的に「魅力」をうみだしていると結論しました。
表情や笑い声、身振り手振りといった運動模倣が個人間の好意や親密さを高めるのは事実ですが、初対面では人間は地を出さずに猫かぶりの状態を維持するほうを優先するため、肝心の感情の一致が最初から望めず、運動模倣の効果はごくわずかです。
また地位や学歴、年収といった紙面に現れるスペックは、無意識のカップリング結果を脳に納得させる要素であり、生理的な同期能力とは最も遠い要素です。
婚活市場では非常に重要なはずのスペックが、初対面時にアピールされるとウザイと感じてしまうのは、本能レベルで勘違いしているからかもしれません。
同様に判で押したような量産型美少女キャラから地雷臭がただよってくるのは、相手との生理的、感情的同期を否定あるいは不全を起こしている可能性が高いからでしょう。