魚の雑種の「名前」
さて、そんな「魚の雑種」ですが、個人的に気になることがあります。それは「ネーミング」。
たとえば「イシガキイシダイ」という名前からは、その両親が何者であるかは誰でもすぐにわかります。「オイムツ」も川魚に詳しい人なら連想は容易です。
一方でロックトラウトは「岩魚」の岩と「虹鱒」の鱒から来ているのですが、知らないとちょっと想像しづらいです。マス・サケ類は釣り人に人気の高い魚なので、「横文字好き」が多い釣り業界の影響でカタカナ英語名が通用されることが多いのですが、一般の方にはちょっとわかりにくいかもしれません。
しかし、同じマス系の交雑種で、純粋な日本語名なのに両親が全く想像できない魚がいます。それは「カワサバ」。これはイワナとヤマメの交雑で、体の模様が海水魚のサバに似ていることから命名されたのですが、文字面からも見た目からも両親を想像するのが難しくなっています。

(画像=川にサバ!?(提供:PhotoAC)、『TSURINEWS』より引用)
ちなみにこのカワサバ、本来イワナが生息している場所に、無秩序にヤマメを放流してしまったことで、本来生息域の重ならない両種が交配してしまったことで生まれたと考えられています。無思慮な放流が生み出す「雑種」は、遺伝的多様性の破壊の象徴といえるかもしれません。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
提供元・TSURINEWS
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