明るい兆しとは言い切れない
しかし、昨年度のこのデータを見てすなわち「魚介類の消費量が増加傾向にある」と断ずることはできません。今回の購入量増加の主因は、あくまで「コロナ」であり、増加は一時的なものだと考えられます。
実は世界では、1人当たりの食用魚介類消費量が18年までの半世紀で約2倍に増えています。しかしその一方日本は01年度をピークに減っており、我が国の魚介消費は世界的なトレンドとは真逆の動きをしてきました。
消費量を大きくプラスに展示させるためのポジティブな要因が見つからない現状の中、今後感染拡大が収まり素の生活様式が取り戻されていく中で、再び家庭での購入量・消費量が下げに転ずる可能性は残念ながら高いと言わざるを得ないでしょう。

(画像=日本の漁業の先行きは明るくない(提供:PhotoAC)、『TSURINEWS』より引用)
もともと世界屈指の魚介消費量を誇り、漁業立国の名をほしいままにしてきた我が国。しかし今では乱獲による資源量減、需要減による魚価の低下もあり、漁業の先行きは明るいとは言えません。
同白書は最後に「生産者側の視点より消費者側の要望に即して商品を提供する『マーケットイン』の考え方が重要」とまとめていますが、早急な対策を行わない限り、日本の魚介類消費量は早晩不可逆的なレベルまで減少し、漁業が成り立たなくなってしまうでしょう。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
提供元・TSURINEWS
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