ボクサーをノックアウトするのはパンチ命中直後の加速運動ではない
今回の研究により、柔らかな中央素材(黄身)は、外部からの直進的な動きに対して意外なほど頑強である一方、回転運動に対しては変形しやすく、特に減速時には最も歪みが大きくなることが示されました。
脳が大きく歪むと神経細胞同士の接続がちぎれ、脳震盪(ノックアウト)につながり、歪みがさらに酷ければ脳の構造が崩れて重度の脳損傷となります。
この結果は、ボクサーをノックアウトするのは額への直撃ではなく、アゴであるという事実と一致します。
ただ今回の研究により、ダメージはパンチの最中(回転運動の加速)ではなく、パンチを出し切った後、つまり首の筋肉や背骨の支えによる頭部の減速過程で起こることが示されました。
この発見は、突然の外部からの衝撃から脳を守るにあたって新しい視点となるでしょう。
もしかしたら未来のヘルメットには、回転防止のためのカウンターウエイト(能動的質量移動)機能が頭頂部についているかもしれませんね。
参考文献
sciencealert
提供元・ナゾロジー
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