目次
涙腺オルガノイドの移植実験に成功
オルガノイドを臓器移植の提供源にできる日が来る

涙腺オルガノイドの移植実験に成功

人工培養された涙腺に「感情の涙」を流させることに成功
(画像=涙腺を作成し、性能を確かめたのち、マウスに移植する / Credit:Cell Stem cell、『ナゾロジー』より引用)

今回の研究ではヒトの涙腺オルガノイドの他にマウスの涙腺オルガノイドも作られていました。

マウスの涙腺オルガノイドは人間のように感情に反応する涙を流せませんが、ヒト涙腺オルガノイドと異なり、他の健康なマウスに移植実験が行えます。

移植を行った結果も良好であり、涙腺オルガノイドは2週間後にマウスの目の中で涙管を形成し、2カ月間マウスの体内で機能し続けました。

この結果は、ヒトの涙腺オルガノイドをヒトに移植することが可能であることを示唆します。

オルガノイドを臓器移植の提供源にできる日が来る

人工培養された涙腺に「感情の涙」を流させることに成功
(画像=涙腺のような比較的小さな組織は培養された臓器の移植に適しているかもしれない / Credit:Canva、『ナゾロジー』より引用)

今回の研究により、涙腺オルガノイドが人への移植の供給源として使えることが示されました。

現在、消化管や皮膚、心臓、脳などの様々なオルガノイドが作成されていますが、移植実験の良好な結果は、涙腺オルガノイドが他のオルガノイドに先駆けて、移植元となれる可能性を示唆します。

研究者たちは将来的に、ヒトのドライアイなどの治療に涙腺オルガノイドの移植を検討しています。

もしかしたら未来の世界では、涙腺だけでなく、自分の細胞から培養された脳を含む臓器まで気軽に交換できるようになるかもしれません。


参考文献

Scientists Create Artificial Tear Glands That Can Cry Real Tears

Researchers grow crying human tear glands in the lab

元論文

Exploring the human lacrimal gland using organoids and single-cell sequencing


提供元・ナゾロジー

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