有害な外来魚でもあるコイ

コイは日本人に広く親しまれている魚ですが、日本における在来のコイはもともとごく限られた水域のみに生息していたものだと言われています。そのため多くの場所ではコイは「国内外来魚」です。現代でも、多くの場所で日々コイの放流が行われています。

そして我が国の河川や湖沼では、コイはその大きさから天敵がおらず「生態ピラミッドの頂点」を占める存在となります。コイは貪欲な性質で植物性・動物性のあらゆるものを何でも食べるため、放流された場所の生態系を破壊し尽くします。

住宅街にニシキゴイが突如現る 「当たり前の光景」としてはいけない?
コイの群れ(提供:PhotoAC)(画像=『TSURINEWS』より 引用)

また、その大きな尾びれが川底の泥を巻き上げ、それによって透明度が下がり水生植物が枯れてしまった例もあるそうです。

北アメリカでは移植されたコイが、その水域における単一優占種になってしまった例が多発しました。そのため国際自然保護連合によって「世界の侵略的外来種ワースト100」のひとつに指定されています。

日本特有の事情もあります。というのもコイ、とくにニシキゴイは日本人に愛されてすぎているため「地域住民」によって保護や放流が行われてしまう例も多いのです。もちろんそのようなことをする人々は、水域の生物多様性などには意識が至っていません。

「住宅街のニシキゴイ」というニュースからは、生物学的リテラシーを誰もが持つ必要性が読み取れるのではないかと思うのです。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

提供元・TSURINEWS

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