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アメリカ市民を相手に実験
水泡に帰した「ファンタジア作戦」

アメリカ市民を相手に実験

戦略チームは、日本人を確実に怖がらせるため、30頭の夜光キツネをワシントンD.C.のロック・クリーク・パークに放し、地元民の反応を調べています。

「もしアメリカ市民がキツネを怖がったら、日本人はもっと怖がるだろう」という理屈でした。

1945年のある夏の夜、夜光キツネは期待通りの成果を挙げて道を駆けまわりました。幽霊のようなキツネを見た通行人は混乱し、恐怖におののいたと報告されています。

当時、警察には「光るキツネに突進されて、叫びながら逃げ惑う人がいる」と目撃者からの通報があったようです。

水泡に帰した「ファンタジア作戦」

しかし最大の問題は、どうやって日本にキツネを送り込むかということでした。

その解決法として、米軍は、沿岸部でキツネを海に落とし、岸まで泳ぎ着かせるという方法を採用しました。ところが、キツネは無事に岸に泳ぎつけたものの蛍光塗料がすべて落ち、ただの濡れ狐になってしまったのです。

”光る放射性キツネ”で日本を攻撃?大戦中にアメリカが計画した「ファンタジア作戦」とは
(画像=蛍光塗料が水で濡れ落ちてしまった / Credit: pixabay、『ナゾロジー』より引用)

また、キツネがまったく訓練されていなかったため、日本の町に解き放たれたところで、目論見通りの行動は取れなかったでしょう。戦火の激しい町を避けて、山や森に引きこもったと思われます。

結局、ファンタジア作戦は、キツネに塗った蛍光塗料とともに水の泡となりました。

もし作戦が実行され、当時の日本人が光るキツネを見たらどんな反応をしたでしょう。

米軍の予想通りキツネを悪霊と見たかもしれませんし、反対に吉兆と見て士気を高めたかもしれませんね。


参考文献

smithsonianmag


提供元・ナゾロジー

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