難しい新生児の研究

帝王切開で生まれた赤ちゃんにお母さんの「糞便」を与えて健康な微生物叢を構築する研究
(画像=母親と赤ちゃん。 / Credit:depositphotos、『ナゾロジー』より引用)

今回の研究成果は、どのように赤ちゃんが母親から微生物などを受け取るかの経路についても、理解を深める内容です。

しかし、だからといって自分で赤ちゃんに直接糞便を与えないよう、研究者は警告を発しています。

実験では危険な細菌がないか慎重に調査を行った上で行われています。真似する人はいないでしょうが、素人が試すには危険な行為です。

新生児を用いた研究は、他にもセンシティブな問題を多く含んでいます。

今回の研究は、一般的には不快に感じるものでしょうが、参加に同意してくれた母親たちは非常に協力的だったといいます。

しかし、帝王切開で双子を分娩した女性がいたため、研究者が1人に希釈糞便を与え、もう1人は与えない比較実験の計画を提案したところ、母親は片方の子に不利益が生じるのは嫌だと言って断ったそうです。

このような事情があるため、この研究ではまだ正確な比較対象実験が確認できていません。

研究チームは今後、同じ条件の帝王切開の赤ちゃんに対して、片方には糞便を与え、片方には与えないという条件で、免疫系の発達を比較する計画を立てています。

現在のところはまだ、帝王切開の赤ちゃんが明確に免疫系にリスクを持つと証明されているわけではありません。

なかなかに難しい研究ですが、こうした問題も今後徐々に明らかにされていくでしょう。


参考文献

medicalxpress


提供元・ナゾロジー

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