目次
屋久島自然館から縄文杉トレッキングへ
荒川登山口からトロッコ道を歩く
屋久島自然館から縄文杉トレッキングへ

早朝4時、湿度が高い屋久島では当然朝も冷え込む。まだ日も登っておらず、辺りは真っ暗だ。そんな朝早くから、僕は屋久島自然館という場所に来ていた。
今回の目的は、屋久島にある縄文杉を見に行くことだ。屋久島では樹齢千年を超える高齢杉のことを「屋久杉」と呼ぶ。今回見に行く縄文杉は、確認されている屋久杉の中でも最大級の老大木で、推定樹齢は2,000〜7,200年といわれている。縄文時代から生きているから、縄文杉というらしい。

縄文杉を見に行くコースはいくつかあるのだが、今回はオーソドックスな「縄文杉トレッキングコース」から向かうことにした。現在いる屋久島自然館からバスで荒川登山口まで向かい、登山口から縄文杉を目指すというコースだ。

受付を済ませ、列に並んで登山バスを待つ。ちなみにバスに乗るためのチケットは、前日までに購入しておくと搭乗がスムーズになる。観光案内所や島内のホテルなどで購入可能なので、余裕があれば買っておくと良いだろう。料金は往復で2,400円、うち1,000円は環境保全金だ。

早めに来たこともあり、なんとか始発の5:00の便に乗ることができた。バスでの移動時間は約40分。揺られている間に、空が明るくなり始めていた。
荒川登山口からトロッコ道を歩く

荒川登山口に着く頃には、すっかり空は明るくなっていた。標高も高いためか、5月だというのにかなり寒く感じる。荒川登山口ではトイレを簡単に済ませて、早速登山道に向かう。

ここが縄文杉トレッキングの入り口。立ってみると、足元に線路のようなものが続いていた。気になって調べてみると、どうやら大正12年に開通したトロッコ道の名残らしい。当時は屋久杉の伐採が盛んに行われており、その運搬で活躍したそうだ。このトロッコ道は現在でも、ダムの保全や施設の維持管理のために使われるそうだが、実際にトロッコが動いているところは、めったに見られないらしい。

縄文杉トレッキングでは、このトロッコ道8.5km(約3時間)を越えて、さらに山道2.5km(約2時間)を登り、ようやく縄文杉までたどり着く。往復22kmで合計所要時間は約11時間となる。かなりハードな道になるため、自分の体力と相談しながらのトレッキングになりそうだ。

ここからが縄文杉トレッキングの開始。最近めっきりと運動をしていないため、体力に不安を抱えつつ、怪我だけはしないようにと自分に言い聞かせて、トレッキングを開始した。

実際に歩いてみると、レールの中心は木の板になっていて、段差も小さく歩きやすかった。周りを歩く人を見てみると、ご高齢の方も多くいるようだ。レールからはみ出てしまうと、足場がゆるくなっている場所もあり、トロッコ道の上を進むのが安全そうである。

道が歩きやすく、トロッコ道にそって進むため迷うリスクも低いため、最初は楽なトレッキングだと思った。異変を感じたのは、トレッキング開始から1時間ほど経った頃である。

永遠と続くトロッコ道に、飽きてきたのだ。とにかく、歩いても歩いても歩いても歩いても、景色がほとんど変わらない。カーブを超えても、橋を超えても、見えてくるのはどこまでも続くトロッコ道。これが約3時間続くというのだから、精神的に苦しい。



それでも、少しずつ森が深くなっていくのを横目に感じながら、ひたすら歩き続け、ようやくトロッコ道の終点までたどり着くことができた。

時計をみると時刻は9:30。スタートから約3時間半でトロッコ道を抜けることができた。無限に続くトロッコ道に精神的には疲れたが、平坦な道だったこともあり、体力的にはまだまだ十分に余力はありそうだ。持ってきたおにぎりを食べて、湧水を飲んで休憩をとる。