オフ期のボディビルダーは、筋量増加に重点を置いたトレーニングプログラムを実践している。つまり、多くの種目を高重量・低レップで行っている。しかし、もし筋力の増加に限界を感じたらどうすればいいのだろうか? 停滞した筋力を再び伸ばすにはどのようなテクニックがあるのか? そんな疑問にぶち当たったら、ぜひ試していただきたいのが今回紹介するクラスタートレーニングである。先週はクラスタートレーニングに基本について解説した。今週はこのクラスタートレーニングの実践例から紹介していく。

クラスタートレーニングの実践例

クラスタートレーニングについて大まかな考え方が理解できたら、具体的な内容に入っていこう。ここではベンチプレスを例に挙げて解説していきたい。

ベンチプレス:通常のやり方 例えば5RMの重量(5レップできる最大重量)を使って5レップを行ったら、通常は2分間のセット間休憩を取ってから、同様にして次のセットを行う。これを繰り返すのが通常のやり方だ。

ベンチプレス:クラスタートレーニングのやり方

5RMの重量を使い、2レップごとにイントラレストを10〜30秒間挟みながら、これを4回繰り返して1セットとする。その後、セット間休憩を挟んで、同様にこれを繰り返す。

計算すれば分かるとおり、クラスタートレーニングでは5RMの重量を使って1セット当たり8レップを行うことができる。2レップごとに10〜30秒間の休憩を挟むので、1セットを終えるまでにかかる時間は長くなるが、通常のやり方と比べると、セット当たり3レップも多く行うことができる。

通常のやり方と同じ重量で、いつもより多くのレップができるため1回のワークアウト量は増加する。これがクラスタートレーニングの最大の長所なのである。

この長所によってもたらされるのはメカニカルストレス(筋線維への負荷)の増加であり、それは結果的に筋量の増加を促す。もちろん筋力の増加も得られる。

クラスタートレーニングの進め方

クラスタートレーニングのやり方が理解できたら、次は部位ごとにどのような種目を選択し、どのような構成で行うかについて解説していく。なお、以下に示す内容は、クラスタートレーニングを開始してから1〜3週目に行う内容である。

【胸】 バーベルベンチプレス
●通常のやり方:1RMの75%の重量×8レップ×4セット
●クラスタートレーニング:1RMの75%の重量×3、3、2レップ×4セット
※イントラレストは10〜30秒間
※セット間休憩は2分間

【肩】 バーベル・オーバーヘッドプレス
●通常のやり方:1RMの75%の重量×10レップ×3セット
●クラスタートレーニング:1RMの75%の重量×4、3、3レップ×4セット
※イントラレストは10〜30秒間※セット間休憩は2分間

【背中】 バーベル・ベントオーバー・ ロウイング
●通常のやり方:1RMの75%の重量×8レップ×4セット
●クラスタートレーニング:1RMの75%の重量×3、2、2レップ×4セット
※イントラレストは10〜30秒間
※セット間休憩は2分間

【脚】 バーベルスクワット
●通常のやり方:1RMの75%の重量×10レップ×4セット
●クラスタートレーニング:1RMの75%の重量×4、3、3レップ×4セット
※イントラレストは10〜30秒間※セット間休憩は2分間

すでに述べたが、クラスタートレーニングを行うのは多関節種目のみである。また、前記の例を見てもわかるとおり、開始してから1〜3週目まではとても簡単に行えるはずだ。というのも、通常のやり方と同じ運動量、同じ使用重量なのに、クラスタートレーニングではレップの塊ごとにイントラレストが入るからだ。

しかし、1〜3週目を過ぎたら、4〜7週目は1RM×85%の重量、8週目は1RM×90%の重量を用いるようにする。短期間でそこまで重量が増やせるか疑問に思う人もいるだろうが、イントラレストを入れながら行うクラスタートレーニングなら問題なく行えるはずだ。そして、当然ながら使用重量が増えていくと、イントラレストを取りながらでもワークアウトは間違いなくきつくなってくる。

トレーニングプログラムは部位ごとに分けてもいいし、上半身と下半身に分けてもいい。いずれにしても、クラスタートレーニングを用いるのは多関節種目のみであり、単関節種目は通常のやり方で行うようにしよう。