12歳の少女が主観色と錐体細胞の関連性を明らかにし、250万円を獲得

180年間ナゾだった「モノクロ映像に色が見えてくる錯覚」の仕組みを12歳の少女が解明!
ベンハムの円盤装置 / Credit:Society for Science(画像=『ナゾロジー』より 引用)

クマール氏は主観色の原因に網膜の疲労が関係していると考え、この関係性を実証するテストを行ないました。

その実験では、まず10人の被験者たちから、ベンハムのコマが回転したときに見えた色のデータを収集します。

そして赤や青、そして緑の光を凝視させることで網膜疲労を誘発。これにより色覚の基礎となる錐体細胞に疲労がたまります。

その後再びベンハムのコマを見せ、被験者たちが見た色のデータを集めました。

180年間ナゾだった「モノクロ映像に色が見えてくる錯覚」の仕組みを12歳の少女が解明!
サミュエリ財団賞を受賞したイシャナ・クマール氏 / Credit:Society for Science(画像=『ナゾロジー』より 引用)

その結果、被験者は90回試行されたテストの83%で色覚の変化がありました。しかも被験者が報告した色の変化は様々だったのです。

彼女の研究によって、想像上の色をつくりだす「主観色」と錐体細胞が相互に関係していると判明しました。主観色が完全に解明されたわけではありませんが、この発見は視覚障害の診断や治療に大きく役立つでしょう。

さて、2020年Broadcom MASTERSのファイナリストには30人の優秀な学生たちが選ばれました。

180年間ナゾだった「モノクロ映像に色が見えてくる錯覚」の仕組みを12歳の少女が解明!
Broadcom MASTERSの30人のファイナリストたち / Credit:Society for Science(画像=『ナゾロジー』より 引用)

ファイナリストの多くは14歳の少年少女ですが、クマール氏は研究とリーダシップ、思考力などが高く評価され、12歳という若さでサミュエリ財団賞を受賞し、賞金約250万円を獲得したのです。

クマール氏は将来外科医になることを望んでおり、「神経視覚やその他脳の知覚障害をもつ人々を助けるための研究と手術を行ないたい」と述べています。

【編集注 2020.11.17 08:00】
タイトル一部修正して再送しております。


参考文献

dailymail

, societyforscience


提供元・ナゾロジー

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