デンキナマズは電気属性の攻撃に対しては、めっぽう強いようです。
2月23日に『Journal of Experimental Biology』に掲載された論文によれば、デンキナマズは自ら発する電流に耐性を持つのはもちろん、外部から受ける電流にも圧倒的な耐性を持つことが示されました。
RPGやアクションゲームなどの「属性システム」に慣れ親しんだ人ならば不思議はないかもしれませんが、デンキナマズは現実の生き物です。
そして、その現実の生き物にはじめて、フィクションの世界のような特性がみつかったのです。
そう考えると、驚くべきニュースといえるかもしれません。
いったいどんなメカニズムで、デンキナマズは外部からの電流を防護していたのでしょうか?
目次
デンキナマズの外部電流に対する耐性は未知だった
デンキナマズは外部からの電撃にも耐性があった
デンキナマズの外部電流に対する耐性は未知だった

デンキナマズは300ボルトもの電流を放出し、獲物を気絶させて狩りを行います。
しかし古くからデンキナマズは自らの電流ではダメージを一切受けないことが知られています。
これは、デンキナマズの神経が内部から発せられる電流に対して、絶縁効果のあるバリアを持っていることを示します。

そこで今回ドイツのバイロイト大学の研究者は
「デンキウナギは外部からの電流に対して耐性を持つのだろうか?」
と考え、改めてデンキナマズに対する感電実験を行うことにしました。
研究者たちはデンキナマズと比較のための金魚が入った水槽に電極を刺し込みました。
そして観測のため、水槽の前に高速度カメラが設置しました。
装置が完成すれば、あとはスイッチを入れるだけです。
デンキナマズは外部からの電撃にも耐性があった

デンキナマズは外部からの電流に耐えられるのか?
有史以来の謎を解明すべく、研究者たちは装置のスイッチを入れました。
結果、周囲で泳いでいた金魚が感電して気絶するほどの電気を水槽に流しても、デンキナマズには全く影響が現れないと判明しました。
体のどこかがピクピクすることも暴れることもありません。
電流を持続的に流しながら、びっくりさせるために水槽を叩いても、まったく反応はなかったようです。

この結果は、デンキナマズの神経が外部からの電流に対して、中枢から抹消に至るまで完全に防護されていることを示します。
しかしそうなると、新たな謎が研究者に浮かびました。
というのも、デンキナマズには周囲の獲物の動きを電界のわずかな変化を通して知覚する能力があるのです。
つまり、デンキナマズは外部の電流に対して不感ではなく、むしろ逆に類をみないほど敏感なのです。
にもかかわらず、金魚が気絶するほどの外部電流をデンキナマズは平然と耐えていました。
この事実は、デンキナマズの神経防護バリアが思っていたよりも複雑であることを示します。