4月は多くの人にとって生活の節目。様々な目標を叶えたり、将来への不安を解消したりと、お金の必要性を普段よりも感じることが多くなる。
新年度入りを機に貯蓄を始めるのは良いことだ。しかし、スタートは一緒なのに日頃のお金の使い方次第で、お金が増える人とそうでない人は分かれてしまう。その原因は何だろうか。
「貯める」のは足し算 それだけでは増えない
お金持ちは積極的に投資を行っていることを肝に銘じておく必要がある。貯蓄を始めることはもちろん悪いことではないし、大切なことだ。しかし、貯蓄を漫然と続けているだけでは、お金が貯まることはあっても増えることはない。足し算だけではなかなか資産は増えないということだ。
具体的に考えてみたい。コツコツお金を貯める場合に、多くの人が銀行の積立定期や定期預金を利用する。たとえば、毎月1万円ずつお金を積み立てれば、1年間で12万円を貯めることができる。また、ボーナスなどまとまったお金を受け取った時に、お金を使わないようにするために銀行の定期預金に預ける人もいるだろう。
日本では超低金利の状況が長く続いている。銀行の定期預金に1年間預けた場合の金利は現在、0.01%だ。たとえば50万円を定期預金に預けて受け取れる利息は50円(税引前)にしかならない。投資では、投資した金額から減るリスクはあるかもしれないが、銀行に預けておけばお金が減ることはない。預金保険制度の対象になるため1000万円までは全額保護される。安全安心といわれる定期預金に預けて、50万円が2倍の100万円になるためには、どのくらいの時間がかかるのだろうか。
お金を2倍に増やす金融商品や、お金を2倍に増やすための運用期間を把握する時には、お金を2倍にする「72の法則」を活用する。算出式は下記の通りだ。
金利(%)×年数(年)=72
定期預金の金利0.01%を当てはめてみると、
0.01×年数(年)=72
年数(年)=72÷0.01=7200
2倍に増やすためには、なんと7200年もかかるという状況なのである。私たちが生きている間に定期預金で2倍に増やすことが不可能である事実を認識しておく必要がある。
では、10年後に2倍に増やすためには金利水準は何%の金融商品なのか計算してみよう。
金利(%)×10=72
金利(%)=72÷10=7.2%
10年でお金を2倍に増やそうと思った場合には、7.2%程度で運用を行わなければならないことになる。預金商品では難しい金利であることは一目瞭然なので、7.2%までは難しくても少しでも有利な金利で運用できる金融商品を探しておかなければならないだろう。
お金を増やす「投資脳」を身につける
超低金利の時代に、2%、3%の金融商品を探そうとすれば、投資信託や株式といった投資商品にならざるを得ない。投資をすることはお金を増やす上では避けては通れないことだと筆者は考えている。
とはいえ今までまったく投資をしたことがない人が、いきなり投資を始めるのは抵抗があるだろう。しかし、普段の「お金の使い方」を見直すだけでも、投資脳は身につく。
会社員として働いていると、自分のお金を銀行から引き出す時間を平日にはとりにくい。だからといって、休日に自分のお金を引き出せば、一般的1回108円の手数料がかかる。50万円の定期預金で50円しか利息を受け取れないのに、支払う手数料のほうが倍ちかくも多くなってしまう。休日に安易にATMを利用してしまう生活を送っていては、お金は減る一方だ。
多くのお金持ちは、銀行にお金を引き出しに行くことは少ない。たとえば、生活にかかる様々な支払いを、電子マネーやクレジットカードで行っているからだ。電子マネーやクレジットカードを利用するメリットは、利用金額に応じてポイントが貯まる仕組みになっているからだ。一般的には、200円で1ポイント貯まる場合が多く、この場合には0.5%の還元率になる。定期預金の金利が0.01%のところ、電子マネーやクレジットカードを使うだけで0.5%ものポイントを受け取ることができるようになるのだ。
一般的に、ポイントは現金と同じように使える場合が多い。たとえば、コンビニで一日500円の利用を30日間行った場合、合計1万5000円を現金でただ支払うだけの人もいるかもしれない。しかし、電子マネーやクレジットカードを利用すれば、還元率1%なら150ポイント、一年間では1800ポイント貯まる。貯まらないよりは貯まった方がオトクであることは明らかだ。
同じ支出でも「得られるお金をいかにして増やすか」という考えを身に付けていけば、投資の必然性も理解できるようになるだろう。
文・横山利香(よこやまりか)/ZUU online
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