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沖縄の無人島が美しいテラスに!?「瀬長島ウミカジテラス」とは?
商業スペースの「小さな店舗」へのこだわり
沖縄の無人島が美しいテラスに!?「瀬長島ウミカジテラス」とは?

瀬長島に吹く「ウミカジ」を感じながらテラスで絶景を楽しむ場所を、と施設名は「瀬長島ウミカジテラス」と名付けられました。コンセプトがそのまま名前になるというほど、明確な方向性によって始まったプロジェクト。
「荒れ果てた無人島に行政と市民が連携し、統一したコンセプトの下で整備をした事により、瀬長島全体で280万人の来場者(2019年)を記録しました。美ら海水族館に次ぐ集客スポットとなりました」
渋谷さんたちは、この場所を一般的な商業施設のような「閉鎖的な空間にすべきではない」と考え、商業スペースの店舗を点在させるデザインを考案したといいます。
「商業施設としてそれなりに売り上げは上げられるという目算があったうえで、パブリックな空間の中にポツポツと施設を建て『すべて開放しましょう』という狙いでした」
車社会である地域の暮らしを鑑み、屋台村のような夜のお店ではなく昼メインのお店を対象としました。さらに、地方都市の住民が感じがちな「行く場所がない」という要望にも応えるべく、若い女性がおしゃれをして出かけられるようなおしゃれスポットとしての演出も。
「少しだけ自慢できる場所を、と考えました。地方に暮らす方はやはり便利なものを求めます。この地域にしかできないおしゃれでかっこいいものという要素もこの施設に組み込みました」
商業スペースの「小さな店舗」へのこだわり

おしゃれをして出かけたくなる場所、という外見的なこだわりだけでなく地域の人たちの将来的な生活にも寄り添う場所をと渋谷さんは考えました。
それが「小さな店舗」へのこだわりです。
「小さな店舗だと初期費用などの面でも出店がしやすいんです。出店へのハードルが下がるので、都心部の大企業だけでなく地域の人たちが挑戦しやすくなります」
地域の人たちの起業の場になることをも考慮していた、というのです。施設にお金を落とすだけでなく、直接的に地域の人たちもお店にかかわることができるという特徴を持たせました。
「おしゃれをしてウミカジテラスに遊びに来ていた女の子が、将来的にはここで働きたいと思ってもらえたらいい。来てお金を使うだけではなく、働きたいと思える場所こそが暮らしやすさにつながるのではと思います」