食材としてのハクレン
このように、地域の風物詩として定着しているハクレンですが、彼らは実は中国原産の外来魚です。原産地では四大家魚といわれるメジャーな食用魚のひとつで、日本へもはじめは食用魚として移入され、各地の河川に放流されました。
しかしその後我が国では肉食化が進んだため魚離れが起こり、またそもそも淡水魚を食用とする機会自体が減ってしまったこともあって、食用魚としては定着せず。利根川など長大な河川でないと繁殖できない生態上の理由もあり、多くの場所で忘れ去られた存在となりました。
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しかし現在でも、生息域の利根川下流域では、食用にされる例がないわけではありません。実際のところハクレンは、コイ科魚の中でも味は良い方で、特に脂の乗った腹身はブリのような食感があり美味です。釣り人や漁師の中にはフライや中華風あんかけのほか、時には洗いなどで食べる人もいるようです。
ただし、コイ科魚だけあって小骨はとても多く、通常の料理では食べにくいという事実もあります。また、水を濾過して植物プランクトンを摂取する性質があることから、水質の影響を受けやすく、水質の悪い水域に棲んでいるものは臭みを溜め込んでしまいます。臭いところの個体はとても食べられないため、美味しく食べるには比較的水質の良い場所で捕獲するのがよいでしょう。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
提供元・TSURINEWS
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