知らないオッサンに優しくタッチされても気持ちよくない理由

優しい「ギュ」で気持ちよくなる仕組みが判明!ギュの伝達物質を発見
(画像=優しいタッチの快感を薬で再現できれば多くの孤独な人の心を救えるでしょう / Credit:Canva . ナゾロジー編集部、『ナゾロジー』より 引用)

なぜ「優しいタッチ」は「痒さ」や「冷たさ」と違って相手を選ぶのか?

この謎に対して研究者たちは、タッチには相手の力学的な感覚(強さや位置)を検出する「識別的触覚」とタッチに感情的な価値を与える「感情的触覚」の2種類が存在するからだと述べています。

私たちがタッチを評価する場合、単にタッチの力学的な特性だけでなく、タッチをしてくる相手などの感情的な価値が掛け合わされます。

そのため力学的特性が優れたタッチであっても感情的に嫌(価値が低い)と判断されれば、タッチの評価は低くなり、気持ち良さも感じなくなってしまうのです。

あるいは、痛みを感じるほどの「グギュ~~」という抱擁でも相手が好きなら(感情的価値が高いなら)気持ちよくなってしまうのは、この掛け算のマジックが起こるからかもしれません。

研究者たちは、今回の研究成果を応用すれば、一部の自閉症スペクトラムにみられる、接触回避や社会的孤立を特徴とする障害の治療につながると述べています。

優しい「ギュ」が与える気持ち良さを薬で再現することができれば、多くの人々を孤独から救えるかもしれません。

公開日:2022.05.18 WEDNESDAY

参考文献: Neural pathway key to sensation of pleasant touch identified

元論文: Molecular and neural basis of pleasant touch sensation

提供元・ナゾロジー

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