昆虫のような社会はどのようにして形成されたか

ハダカデバネズミは赤ちゃんを奴隷にするために隣の巣を襲って誘拐していた
(画像=ディスクで遊んでいる様子からは普通のネズミのようにみえる。昆虫と違って遊ぶことを知っているのかもしれない / Credit:UIC、『ナゾロジー』より引用)

1匹の女王が巣を統治し、他の個体は繁殖を行わず労働者となる。

このような昆虫的な社会(真社会性)を築く哺乳類として知られているのはハダカデバネズミの他には、類縁のデバネズミ科の1種のみが知られています。

ハダカデバネズミがなぜ昆虫的な真社会性を築くに至ったは諸説ありますが、最も有力だと考えられているのは血縁上の利他主義と飛ばれる仕組みです。

ハダカデバネズミの先祖もまた、生涯を通して同じ仲間たちと同じ巣穴のなかで生活していたと考えられており、そのような状況では、必然的に近親交配が繰り返されます。

そのため巣内の個体間の遺伝的類似性が非常に高くなり、ある時期を境に、自分が子を残さなくても他の個体が子供を産みさえすれば、自分の遺伝子が継承されるのと変らないという利他的な状況がまかり通り「女王」と「労働者」のシステムが誕生した、というわけです。

もしかしたらアリやハチの社会性も、同じような近親交配の極地から進化したのかもしれませんね。


参考文献

Journal of Zoology


提供元・ナゾロジー

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