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風車のブレードを黒く塗るだけで改善
簡単な改良で高い効果が得られるかもしれない
風車のブレードを黒く塗るだけで改善
回転するブレードのモーションスミアを低減させる方法は、過去に実験で考え出されていました。
これはブレードの1枚に塗装を施すというものです。高速回転する扇風機のような羽根の一部が塗られているだけで、視認性があがるということは、経験している人も多いでしょう。
そこでMay博士は風力発電のブレードの1枚を黒く塗りつぶしてみたのです。
そして、周りの塗装されていない風力発電タービンと鳥の衝突事故の発生件数を調査し比較を行ったのです。
研究では4基のタービンに塗装を施しましたが、ここで発生したバードストライクは6件でした。対して塗装していない4基のタービンでは18件のバードストライクが起きました。
この調査研究は3年半に渡り行われてましたが、最終的に年間のバードストライク発生件数は塗装した場合70%も低減させることができたのです。
簡単な改良で高い効果が得られるかもしれない
ブレードの1枚を塗るだけというのは、かなり簡単な改良です。
ただ、これから建設するものに対して行う場合非常に低コストな改良ですが、大量に建設済みの施設にそれぞれこの対応を行うのはかなり費用のかかる問題だといいます。
また、今回の研究は大幅なバードストライクの低下を確認できましたが、その有効性は地域や鳥の種によって異なる可能性もあり、そちらはまだ検証されていません。
しかし、オランダや南アフリカなどは、この試験の実施に関心を向けているそうです。
環境を守るための自然エネルギー発電は、自然と調和することが求められています。
まだブレードを黒く塗るだけという単純な試験結果が報告されているのみですが、塗装のパターンなどによってさらに大きな効果が得られる可能性もあります。
自然と調和する将来を見据えた場合、非常に興味深い研究ですね。
参考文献
NINA
提供元・ナゾロジー
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