土星の円盤などよりはるかに巨大
惑星を取り巻く円盤と言われると、まっさきに思い浮かぶのは土星だと思います。
それはイメージとしては正しいですが、今回映し出されている周惑星円盤はサイズがまるで異なります。
形成中の惑星の周りを取り巻く、この周惑星円盤はただのモヤのように見えますが、その直径はほぼ太陽から地球まで距離と同じです。
土星のリングのと比べた場合、500倍の大きさがある円盤なのです。
ここからは、地球の月の同等の衛星を3個作り出せるだけの質量があるといいます。
衛星がどこで、どうやって形成されているのかということは、実のところまだよくわかっていません。
これまで4000以上の系外惑星が発見されていますが、それらはいずれも成熟しています。
そのため、今回の発見は非常に貴重なものなのです。
ここら生まれつつある、月の姿が見つかるかもしれません。
下の動画、今回の観測画像をわかりやすく描いたCGです。
周惑星円盤の中にある白く光る天体は、CGを作った人の遊び心で、ここから形成される月の姿を期待して描かれたものです。
まだ、そこから生まれる月の姿が確認されたわけではありませんが、ここからは月が生まれるメカニズム解明の重要なヒントが隠されているのです。
公開日:2021.07.23 FRIDAY
参考文献:Astronomers make first clear detection of a moon-forming disc around an exoplanet(ESO)
特集「将来木星圏・土星圏探査計画へのサイエンス:その1」 周惑星円盤の形成:衛星系形成過程の解明へ向けて(日本惑星科学会)
元論文: A Circumplanetary Disk around PDS70c
提供元・ナゾロジー
【関連記事】
・ウミウシに「セルフ斬首と胴体再生」の新行動を発見 生首から心臓まで再生できる(日本)
・人間に必要な「1日の水分量」は、他の霊長類の半分だと判明! 森からの脱出に成功した要因か
・深海の微生物は「自然に起こる水分解」からエネルギーを得ていた?! エイリアン発見につながる研究結果
・「生体工学網膜」が失明治療に革命を起こす?
・人工培養脳を「乳児の脳」まで生育することに成功