太陽系の惑星の多くが、その周りに月(衛星)を持っています。
衛星は太陽系の惑星と同じように、惑星の周りを軌道面を揃えて回っています。
では、月とは一体どうやって形成されるものなのでしょうか?
多数の大学が参加した国際的な天文学者チームは、アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA)を用いて、初めて若い恒星系の中で、系外惑星がもつ周惑星円盤を明確に検出しました。
この観測結果は、惑星の周りで月が形成されるメカニズムについてのヒントを与えてくれるといいます。
研究の詳細は、7月22日付けで科学雑誌『Astrophysical Journal Letters 』に掲載されています。
目次
月を作り出す周惑星円盤
今回観測されたのは、地球から約400光年離れた若い恒星系「PDS70星系」です。
ここには、2つの巨大ガス惑星(木星型の惑星)が確認されていて、写真の中で点のように写っているのがそのうちの1つ「系外惑星PDS 70c」です。
この拡大されて映されているのが「系外惑星PDS 70c」です。
そしてのその周囲にモヤっとなんとなく写っているのが、今回の研究のメインとなっている周惑星円盤と呼ばれるものです。
この2つの写真をイラストで表現すると、下のような状態です。
惑星は、若い恒星を取り巻く「原始惑星円盤」のガスと塵を捕獲して誕生します。
この過程の中で、必然的に惑星を取り巻く形で作られるのが、周惑星円盤と呼ばれるものです。
太陽系の惑星と、木星などの惑星の周りを回る月(衛星)は、どちらも同じように軌道面がそろっています。
これはどちらも似たような原理で形成されている可能性を示しています。
若い恒星の周りには原始惑星円盤が形成され、その中から惑星が生まれます。
惑星の周りには、周惑星円盤が形成され、その中から衛星が誕生するというわけです。
ただ、これまで衛星がどうやって形成されるのかということは、きちんと観測できていませんでした。
今回、その鍵となる周惑星円盤の姿を初めてはっきりと観測できた、というのが大きな成果なのです。