「車が店舗や歩道に突っ込んでしまった」という、ペダルの踏み間違いによる事故が多発しています。踏み間違いによる事故を防止するためには、どのような対策が効果的なのでしょうか。
踏み間違いは年齢に関係なく起きる可能性が
ペダルの踏み間違いの事故は高齢者が多いというイメージを持っている人が多いかもしれません。ニュースでよく見る踏み間違いの事故の当事者はほとんどが高齢者だからです。
しかし、実際には年齢に関係なく運転中の踏み間違いが起きています。こういった操作ミスの発生原因として言われているのが、焦りからくるパニック状態です。
運転に慣れていない、運転に自信がないために、焦りやすく操作ミスを起こしてしまう人がいます。こうした人たちは、年齢に関係なく操作ミスを起こしやすい傾向にあります。
筆者がかつて勤務していた教習所では、技能教習の回数が少ないほど、年齢に関係なくブレーキとアクセルを踏み間違えることが多い印象です。間違えてブレーキを踏んだ場合は車が止まるので問題ありませんが、間違えてアクセルを踏んでしまうと暴走の原因となります。
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年齢に関係なくこうした操作ミスは発生します。ではなぜ、高齢者の踏み間違い事故ばかり大きく報道されるのでしょうか?これには、踏み間違えたあとの対処がすぐにできるかどうかにあります。
一般的に、若い世代の人ほど、踏み間違えた瞬間に、間違えたことに気づいてすぐにブレーキを踏むことができます。瞬発力や反応の速さが暴走事故を防いでいると言っていいでしょう。
しかし、高齢になってくると、瞬発力や反応が鈍くなることはすでに様々な調査でも分かっています。つまり、間違えてアクセルを踏んでいても、体が硬直してしまい「ブレーキを踏む」という動作につながらないのです。
高齢者の免許更新時、踏み間違いの技能講習を行った際に、筆者が話を聞いたところ、多くの高齢者は「体が力んでしまってすぐにブレーキを踏めない」と話していました。
つまり、踏み間違いなどの操作ミスは年齢に関係なく起きることですが、その後の対処は高齢者の方が遅れてしまうため、店舗や歩道に突っ込むような暴走事故に発展してしまう可能性が高くなっているといえます。