水素は環境に優しいエネルギーとして注目を集めてきましたが、その生成には天然ガスや石油などの有限の資源が利用されるため、水素生産の代替技術が求められてきました。
そんな中、オーストラリア・ロイヤルメルボルン工科大学(通称: RMIT)工学部のカルピット・シャー准教ら研究チームは、9月3日付けで科学雑誌『International Journal of Hydrogen Energy』に画期的な新しい水素生成技術を発表しました。
彼らはバイオソリッド(うんち)から水素と炭素を回収する技術を確立させたのです。
この新しい技術は、ほぼ無制限に供給されるバイオソリッドに依存しているため、天然ガスなどと比べても枯渇の心配がなく、環境にもやさしいとのこと。
目次
バイオソリッド(うんち)の有効活用
うんちから水素と炭素を回収する新技術
ゼロ・エミッションを成し遂げるかも!
バイオソリッド(うんち)の有効活用
バイオソリッド(英: bio solids)とは下水汚泥を指す言葉です。つまり「うんち」なのですが、これではイメージがあまり良くありませんね。
そのため近年では生物的固形物という意味から、うんちはバイオソリッドと呼ばれるようになっています。
バイオソリッドは長年、廃棄物として扱われてきました。もちろん有効活用するために肥料や土壌改良剤として使用されていますが、それでも世界のバイオソリッドの約30%は備蓄されたり、埋め立てに回されたりして度々環境問題を引き起こしています。
そのため、これまでにも多くの研究者たちが、無制限に供給されるバイオソリッドを有効活用できないか研究してきました。
そんな中でバイオソリッドを水素生成資源として注目してきたのが、シャー氏ら研究チームであり、この度実現することになったのです。