人の嗅覚は肉の鮮度を大まかに見抜けますが、その感じ方は人によって大きく異なります。

そこで、シンガポール・南洋理工大学(NTU)の材料科学工学部のシャオドン・チェン教授ら研究チームは、誰もが同じ尺度で正確に肉の鮮度を調べられる「電子鼻(e-nose)」を開発しました。

彼らの研究は10月1日付の科学誌『Advanced Materials』に掲載されており、これによると、電子鼻は98.5%の精度で肉の鮮度を予測できたのこと。

電子鼻は哺乳類の鼻を模倣する

肉の鮮度を嗅ぎ分けるアプリ「電子鼻」が開発中。AIはヒトの嗅覚まで再現できる!?
肉の鮮度をにおいで判断する / Credit:depositphotos(画像=『ナゾロジー』より 引用)

研究チームによって開発された電子鼻は、哺乳類の鼻の働きを模倣しています。

通常、肉の鮮度が落ち腐敗が進むと、ガスが生成されます。

そして哺乳類の鼻には、においを脳に伝える受容体と呼ばれる信号変換器が備わっており、ここにガス成分が結合することで、特有のにおい信号が脳へ伝達されるのです。

次に脳は、これら複数の情報を整理しパターン分けすることで、腐敗に伴って発生するにおいを特定するようになっています。

電子脳ではこの嗅覚システムを模倣するために、肉の腐敗ガスに反応する「色付きバーコード紙」とそのバーコードの色の組合せを分析する「バーコードリーダー」が用いられます。