新型コロナウイルスの影響で移動が制限されたことで、世界的にガソリン需要が縮小しているようだ。一方で価格は高騰しており、一向に下落の兆しを見せない。この記事では、ガソリン代の安い・高い都道府県を紹介しつつ、ガソリン価格決定のメカニズムに迫る。

「レギュラーガソリン代が安い都道府県TOP5

経済産業省資源エネルギー庁が毎週発表している石油製品価格調査をもとに、レギュラーガソリン代が安い都道府県ランキングトップ5を調べてみた。なお、数値は2022年7月4日付のものを使用しており、全国平均は173.6円となっている。

<レギュラーガソリン代が安い都道府県TOP5>
順位 都道府県名 レギュラー価格
1位 岩手県 166.8円
2位 宮城県 167.8円
3位 埼玉県 168.3円
4位 秋田県 169.4円
5位 岡山県 169.5円

1位、2位、4位と上位に東北勢がランクインする結果となった。3位の埼玉県は1都6県で構成される関東地方の中では最安値の常連で、全国平均と比較すると5.3円安い。

レギュラーガソリン代が高い都道府県TOP5

同様に、レギュラーガソリン代が高い都道府県ランキングトップ5も調べてみた。

<レギュラーガソリン代が高い都道府県TOP5>
順位 都道府県名 レギュラー価格
1位 沖縄県 184.5円
2位 長崎県 183.0円
3位 鹿児島県 182.4円
4位 大分県 181.9円
5位 長野県 179.2円

1位の沖縄県に、九州3県が続く結果となった。5位は中部地方の長野県と、各エリアの価格差には地理的な要因だけでは説明しきれない「何か」がありそうだ。

なぜガソリン価格に違いが出るのか?

ガソリン価格に地域差が生じる理由の一つは、ガソリンを精製する精油所からの距離だ。精油所から離れるほど輸送コストがかさむため、精油所に近いエリアは安く、遠いエリアは高くなる。

基本的に精油所は海岸近くに建設されるため、内陸に位置する長野県のガソリン価格が高いのもうなずける。

小売業などと同様に、ガソリンスタンドの立地が価格に影響することもあるだろう。人口密度の高い都市部では競合店が多いため、価格競争が起こりやすい。一方で地価が高いため、スタンドのランニングコストは地方に比べて高くなる。

ガソリンには、1リットルあたり53.8円の揮発油税などの税金が課せられている。おまけに消費税も課税されており、各スタンドは常にシビアな価格設定を強いられているといえるだろう。

消費者にとっては「たかが1円の差」かもしれないが、事業者にとって1円の差は非常に大きく、経営を左右する。そのため各スタンドは原油価格をもとに、ガソリン価格を細かく変えているのだ。

最近ガソリン価格が高騰している理由は?

日本はガソリンの原料となる原油を輸入に頼っており、価格は石油産出国の情勢に大きく左右される。石油輸出国機構(OEPC)加盟国の動向に加え、世界の経済状況や紛争などの懸念材料を勘案し、石油産出各国は減産や増産を行う。この調整によって、原油価格は大きく変動するのだ。

新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた2020年春頃、石油産出各国は需要の縮小を理由に減産を進め、原油価格は一時大きく下落した。これを反映し、国内のガソリン平均価格は2020年2月の150円台から徐々に下落し、同年5月には120円台まで下げている。

その後数ヵ月は安定したが、同年の秋頃には再び原油価格が上昇に転じた。コロナは変わらず蔓延していたが、世界的に景気が回復基調にあると判断されたためだ。この動きに投機マネーが加わり、原油高を後押ししている可能性もある。

国内のガソリン価格もこれにともなって上昇し始め、2021年2月に140円台、同年3月には150円台を突破している。

その後一度は落ち着いたように見えた原油価格だが、再び価格は高騰し、2022年1月には170円の大台に乗った。さらに、ウクライナ情勢が相場上昇を加速させている。日本政府は抑制策として石油元売り会社へ補助金を支給しているが、価格は高止まりしており、下がる気配はまだない。

消費国側は大幅増産を要求しているが、同年3月に行われた「OPECプラス」の閣僚級会合では追加増産を見送る判断が下されている。

中長期にわたって価格の明確な見通しを立てることは非常に困難

原油価格の見通しに対し、石油に関する情報をさまざまな形で提供している石油情報センターを運営する一般財団法人日本エネルギー経済研究所は、以下のように述べている。

「石油需給や在庫状況などを基礎とした要因に加え、将来の需給に対する懸念、地域紛争やテロなど地政学的要因、更には株価や為替、OECD諸国、中国等などの景気動向や金融政策などの要因に大きく左右されます。このため中長期にわたって価格の明確な見通しを立てることは非常に困難」

世界情勢やさまざまな思惑が複雑に絡み合っているため、将来を予測するのは非常に難しいのが実情だ。

予断を許さない状況が続く

レギュラーガソリン価格は2008年に一時180円台まで高騰したことがあるが、現在はそれに迫る勢いと言えるだろう。コロナ同様、原油価格の高騰も予断を許さない状況が続きそうだ。

文・MONEY TIMES編集部

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