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スナックの正体は多肉植物のリュウゼツランかもしれない
業者たちが正体をひた隠しにする理由とは
スナックの正体は多肉植物のリュウゼツランかもしれない
クマリ氏が調査を続けた結果、民族植物学者のコプラ・ヘマドリ博士にたどり着きました。
ヘマドリ氏は1994年、スナックの起源を確かめるため、インド中の根を掘って回っていました。
その結果たどり着いたのが、多肉植物の一種であるリュウゼツラン(学名:Agave)です。
リュウゼツランは形状がアロエに似た植物であり、成長すると幅3m、高さ6mになると言われています。
ヘマドリ氏によると、「リュウゼツランの根を食べてみると、でんぷん質が多く、スナック菓子のようだった」とのこと。
さらに他の植物学者たちの情報を集めることで、スナックの正体がリュウゼツランである可能性が高いと判明しました。
2010年のある研究では、スナックとリュウゼツランをDNAバーコーディングしたところ、89%一致するとの結果が得られたようです。
またリュウゼツランにはいくつかの種類があり、スナックに一番近い種類が調査されたところ、サイザルアサ(学名:Agave sisalana Perrine)に絞られました。
実際、サイザルアサをスライスして食べてみると、スナックと同じような歯ごたえがあり、味もありませんでした。
業者たちが正体をひた隠しにする理由とは
科学者たちの調査によって、スナックの正体はほとんど明かされたように思えます。
しかし、リュウゼツランのうちサイザルアサがスナックの正体なのか、または別の種類なのか、といった疑問が完全に解明されたわけではありません。
スナックを扱う業者に直接見せてもらわなければ完全な結論が出ないのです。
ところが彼らは、絶対にその正体を明かしません。
完全にシークレットにし、好奇心をあおることで商売を繁盛させたいのでしょう。
実際、業者たちはスナックのことを、「根っこ」「薬用」「200km離れた森やアフリカからくる」「ヒンドゥー教の神様が食べたもの」などと言って、正確な情報を教えてくれません。
大量購入も許さず、一度に入手できるのは数枚のスライスだけなのです。
とはいえ売り子たちも、新型コロナウイルスの影響で状況が変わってきました。
クマリ氏が不況で困っている売り子たちを問いただしたところ、その売り子はサイザルアサがスナックの原料だと教えてくれました。
何十年も植物学者たちを困らせてきた正体不明のスナックと業者たちも、コロナ不況によるほころびには勝てなかったようです。
参考文献
The Mysterious Street Snack That Has Baffled Botanists for Decades
提供元・ナゾロジー
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