1/4マイルを9秒ほど走り切り、短時間で勝負がつくドラッグレース。
JD-STERではこのドラッグレースを年間5戦行ない、シリーズチャンピオンを決定しています。
そのJD-STERに参戦している選手やマシンをこれから数回にわたって紹介していきましょう。
第2回目は、車両の改造制限がなく8.90秒までの選手がエントリーできるオープントーナメントクラスに参戦中の浜口喜博選手です。
浜口選手は鈴鹿8時間耐久ロードレースにも多数参戦し、現在では自身が主宰運営するレーシングチーム・HAMAGUCHI Racing Teamのオーナーでもあります。
2013年にはフランスのル・マン24時間耐久レースへ痛バイクで参戦し、現地メディアでも話題となりました。
伊勢志摩海人萌えキャラクター『碧志摩メグ』を生み出したのも彼なんです。
ドラッグレースの魅力、サーキットを走っていた彼がなぜドラッグレースにはまっているのか、彼が痛バイクに乗る理由を聞いてみました。
気軽に参加できるドラッグレース
モータースポーツというと、『かっちりとした装備が必要』『専用の車両を用意』『サーキットライセンスが必要』といった、走る前に必要なものを揃えたり、ライセンスを取得するなど、必要なことがいろいろあります。
高いスピードレンジで他のライダーと戦うわけですから、それら準備は必要なこと。
ただ、それらがモータースポーツから足が遠のく原因でもあります。
「レーシングスーツを着てサーキットを走ろうと思うと、結構ハードルが高いんです。
でもこのドラッグレースはクラスが多く用意されていますし、それこそ普段乗っているバイクで出場することができます。装備に関しても、クラスによってはレーシングスーツでなくても出られるものがあります。
しかも、その走っているところをプロのカメラマンが撮影してもらえるんです。
こんなことはなかなかないですからね。
ライディング面で見たら、クラッチミートが上手くなって、スタートを上手に切れるようになります。
でも、そんなことより、自分が好きなスタイルで走れるのが魅力じゃないですかね?
ツーリングだと派手なレーシングスーツは着れないじゃないですか。
ここならある意味コスプレも楽しめますよ」。
そうはいっても、浜口選手の車両は相当手が入っているように見えます。
実際のところ、どうなのでしょう?
「私の車両はスイングアームを変更してるのと、サスペンションのセッティングを変更してるだけです。
あとはサーキットを走っていた時と変わりません。
ドラッグレース用に変更しているのはスイングアーム以外には、サスペンションのセッティングを変えているだけ!
ドラッグレースを始めるなら、そのままの車両で問題ないですよ。
上手くなるにつれて、車両に対する要求も高くなるので、
その時に手を加えていけばいいんじゃないでしょうか?
ドラッグレースは、バイクを純粋に楽しむモータースポーツの原点が詰まっています」
ワンミスが勝負を左右
8耐ライダーとして活躍し海外レースへの参戦経験もある浜口選手がドラッグレースに出るきっかけはなだったのでしょう?
「鈴鹿8耐にそれまでいろいろチームで走っていたんですけど、2012年にKTMジャパンと私のチームがタッグを組んで、痛車で出ることになったんです。
せっかく作ったし、その車両でドラッグレースにも挑戦してみよう! というのがことの発端です」
ドラッグレースの面白さはどこでしょう?
「時間の長いロードレースと違って、ワンミスが勝負を大きく左右するところでしょうか。
戦う土俵が違うから、ロードレース経験者でも気が抜けない真剣勝負です。
でも、一番の楽しさはサーキットでのレース未満の気軽さで、モータースポーツの醍醐味を満喫できることですね」
ドラッグレースの発祥
がストリートレースだったということも影響しているのでしょう。
確かにドラッグレースの会場は、サーキットのようなピリピリに張り詰めた空気よりもフレンドリーな雰囲気。
ツーリングして、そのまま参戦して帰宅、という遊び方だってできちゃうのです。