キュウリやスイカ、ズッキーニなどは、夏野菜として人気の作物ですが、注意すべき点もあります。
実は普段慣れ親しんでいる作物の多くは、長い年月をかけて品種改良された結果であり、もともとの野生種とはまったくの別物なのです。
そして、作物は何の前触れもなく野生種に先祖返りすることがあり、その中には、食用に適さないものや有毒成分を含む危険な状態に戻ることもあります。
特に、家庭菜園や自家栽培を楽しむ人は気をつけなければいけません。
そこで、安全な作物と野生種を見分ける一番のポイントは「苦味」になります。
目次
野菜や果物は「食用」に変えられた⁈
見分けるポイントは「苦味」
野菜や果物は「食用」に変えられた⁈
例えば、朝食で人気のバナナは、もとからタネのない甘い果物ではありませんでした。
今日の食用バナナは、2種の野生バナナが偶然にも混ざって生まれたものです。祖先となる野生種は、中にタネが詰まっていて実が堅く、食用には向いていません。
この他にも、トウモロコシは、元をたどれば「テオシント」という中央アメリカ原産の岩のように硬い茎植物に起源を持ちます。
そこから食用のトウモロコシが誕生したのは、紀元前7000〜5000年前頃であり、最初は粒も小さくて、少なかったそう。
しかし、人類が大きな粒をつける個体のみを選別し続けた結果、現在のような実のギッシリ詰まったトウモロコシへと変貌したのです。
これは最初のテオシントと比べると、ほぼ別モノになっています。
見分けるポイントは「苦味」
家庭菜園や自家栽培の場合ですと、先祖返りを起こしやすいのは「ウリ科」の作物です。
カボチャ、キュウリ、メロン、スイカ、ヘチマ、ヒョウタン、ズッキーニなどがその代表になります。
これらウリ科の作物には、「ククルビタシン」という苦味成分が含まれているのですが、このククルビタシンの量が異常に多いのが野生種の特徴です。
例えば、野生のカボチャは、動物の捕食から身を守るため、タネの中にククルビタシンを詰め込んでいます。
ククルビタシンは、軽い吐き気や胸やけを起こす有毒性を持ち、摂取量が多くなると重度の食中毒を引き起こします。
通常量を摂取するのは問題ないですが、あまりにも苦味の強い作物に当たれば、野生種の可能性があります。
ちなみに、ゴーヤの苦味も一部ククルビタシンによるものですが、大半は中毒を引き起こさない「モモルジシン」という成分です。
目安として、ゴーヤと同じくらい苦いキュウリやズッキーニは、危険と思った方がいいでしょう。