オフプライスストアの可能性
同社は、このオフプライスストアを「新しい買い物のかたち」として、賢い買い物の選択肢の一つとして提案している。シナジーという意味では、同社のリユース店舗で買取をしてもらい、それを軍資金として、オフプライスストアで新品を購入するという買い物サイクルの定着も期待される。
古いものを売って、新しいものを安く購入するーー。それはまさに、循環型のサステナブルな消費スタイルそのものであり、同社が描く、「あらゆるモノの循環インフラとなる」という構想に欠かせない業態といえ、なにより昨今の社会情勢にも合致する。
オフプライスストア拡大への課題
現状では、日本ではオフプライスストアがうまくいっている事例は少ない。そもそも余剰在庫で、市場で支持されなかったものであり、だからこそ、品揃えが重要となるが、それも売れ行き次第のため、計画的な買取りが困難。すでに各メーカーが、自社ECなどで、流通ルートを持っていることなども要因として考えられる。
これらをクリアするには、強大な資本力に加え、陳列も含めた企画力、販売力が極めて重要になる。さらに、トレンドとは一線を画す、必要なものを安く手に入れるという、これまでに染み付いた消費者パターンを根底から変えていくことも求められるだろう。そう考えると、成功へ向けたハードルは高く、同業態の拡大が容易ではないことは自明だ。
あらゆるモノの循環インフラへ
もっとも、同社にはすでにリユースで培った豊富なノウハウがある。その意味では課題は、いかに消費者の購買パターンを変容させられるかに絞られるだろう。
簡単ではないが、社会全体が「持続可能」をキーワードに意識変革が進みつつある。着々と進むインフレ傾向も、オフプライスストアにとっては追い風だ。魅力的な価格と品揃えさえ追求できれば、十分に勝機はあるだろう。
モノを不要な場所から必要な場所へーー。祖業のレンタルビデオでは、買うから借りる。リユースでは使ったら売ると、33年の歴史を振り返れば、同社は消費スタイルの変化を機敏に察し、それにサービスを適応させながら成長と進化を遂げてきた。
製造シーンにおける循環型のシステムは各メーカーが着々と推し進めている。一方で、消費の側面ではあくまでも個々の消費者の意識次第というのが実状だ。同社が小売企業として、消費における循環型のシステムを構築し、それが機能し、定着するようになれば、こうした課題も解決される。そうなれば、大量生産大量消費に代わる新たな購買スタイルの定着も一気に加速するかもしれない。
提供元・DCSオンライン
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