シマウマの縞模様は何のためにあるのでしょう。
この問いは、長い間、生物学者たちを悩ませてきましたが、現在では「ハエの着陸防止」が定説となっています。
縞模様によってハエが目の錯覚を起こし、着地のコントロールを失うそうですが、一方で、正確な理由は解明されていません。
8月19日付けで「Proceedings of the Royal Society journal」に掲載された研究で、英・ブリストル大学がその原因を突き止めるため、縞模様のパターンを増やして実験しました。
その結果、通常の縞模様の他に「チェック柄」も同様の効果を持つことが判明しています。
同時に、縞模様とチェック柄は錯覚のメカニズムが違うため、ますます謎を深めることとなったようです。
目次
ハエが着地できない最有力の定説「アパーチャ効果」
「チェック柄」も効果あり!
ハエが着地できない最有力の定説「アパーチャ効果」
ハエが着地に失敗する理由としては、「aperture effect(アパーチャ効果)」が最有力です。
アパーチャ効果とは、縞模様によって起こる目の錯覚のひとつで、代表例は、散髪屋の前にある青と赤の回転ポールが、上に向かって動いているように見える錯覚です。
本当はその場で回転しているだけなので、もちろん上向きには動いていません。
しかし、これがハエに「Disorientation effect(失見当識効果)」を引き起こし、着地コントロールを奪った状態にさせるそうです。
ところが今回の実験で、アパーチャ効果が真の原因ではない可能性が浮上しています。
「チェック柄」も効果あり!
研究チームは、着陸失敗の原因がアパーチャ効果にあるかどうかを確かめるため、異なる模様がプリントされた布をウマに着せて調査しました。
用意したのは、「黒色」「灰色」「縞模様(縦縞と横縞)」「チェック柄」の5パターンです。
その結果、黒色と灰色には普通に着地していたものの、縞模様とチェック柄への着地成功率はかなり低くなることが判明しました。
また、縞模様とチェック柄の場合、ハエは黒色や灰色のときほど近づくことができず、見えないバリアに遮られているようでした。
すると、縞模様やチェック柄の服を着るだけでハエ除けになるのかもしれません。