40代の投資初心者が運用を始めるにあたり、どんな投資信託を選ぶかは難しい。証券会社などで買うことができる公募投投資信託の数は6,134本(一般社団法人投資信託協会の『数字で見る投資信託(2018年11月末)』)。東京証券取引所に上場している株式銘柄数の約3,600よりもはるかに多いからだ。この中から良い商品を選ぶにはどうすればいいのか。
何を基準にするかを決めてスクリーニングする
投資信託を選ぶ基準にはさまざまなものがある。アクティブファンドかインデックスファンドか。販売手数料がかからないノーロードファンドにすべきか?運用資産のタイプは何を選べばよいのか—————。
これらをすべて天秤にかけながら、銘柄をひとつひとつ比較していくのは不可能だ。そこで、何を優先するかを決め、その基準に満たないものを切り捨てる必要がある。こうした作業はスクリーニングと呼ばれ、株式などの個別銘柄を選別するときにも用いられる。
今回はシンプルに運用コスト(信託報酬)が低いものを、運用資産タイプ別に5本紹介する。投資信託の選別において信託報酬の低さは重要だ。長期で運用する場合は特に影響が大きい。運用期間が長ければ長いほど金額ベースで支払う手数料は高くなるからだ。
もちろんコストの低さだけが投資信託を選ぶためのポイントというわけではない。求める条件を考慮した上で、合致するものがあれば参考にしてほしい。
資産タイプ別の低コスト銘柄5選
5つの資産タイプについて、それぞれもっとも運用コストが低い商品を紹介する。
※ランキングおよび信託報酬などのデータは2018年12月17日時点、出典はモーニングスター
国内株式型
『iシェアーズ・コア TOPIX ETF』
信託報酬:年0.06%
運用会社:ブラックロック
TOPIX(東証株価指数)に連動するタイプのETF(上場投資信託)だ。極めて低い運用コストで、日本の株式市場全体に投資したのと同じ効果が得られる。
国内債券型
『NEXT FUNDS 国内債券・NOMURA-BPI総合 連動型上場投信(愛称)国内債券ETF』
信託報酬:年0.08%
運用会社:野村アセットマネジメント
リスクを抑えたい人にはこちらが良いだろう。もちろん元本は保証されていないが、日本の公社債に投資しているため、安全性は高い。
国内REIT型
『ダイワ上場投信-東証REIT指数』
信託報酬:年0.17%
運用会社:大和投資信託
「REIT(不動産投資信託)で運用してみたいが、どの銘柄を選んだらいいのかわからない」という人は、東証REIT指数に連動するタイプの投資信託を選んでみたらどうだろうか。 価格変動率は株式型よりも低く、債券型よりは高い。分配金も3ヶ月ごとに出る。再投資するのもよし、ほかの銘柄を買ってみるのも良いだろう。
国際株式型
『SBI 先進国株式インデックス・ファンド 愛称:雪だるま』
信託報酬:年0.11%
運用会社:SBIアセットマネジメント
FTSE社が開発した、先進国株式市場全体の動きを表す指数「FTSEディベロップド・オールキャップ・インデックス」に連動することを目標とするインデックスファンド。日本株や新興国株と比べても価格変動率は高い。高パフォーマンスを目指しながらもコストを下げたいという人向き。
バランス型
『DCニッセイワールドセレクトファンド(安定型)』
信託報酬:年0.17%
運用会社:ニッセイアセットマネジメント
一定の割合でさまざまな資産タイプに投資するバランス型。このファンドは国内債券60%、外国債券25%、国内と外国の株式がそれぞれ5%、その他短期金融資産(現金など)5%という配分だ。2017年7月の設定以来、基準価額が非常に安定しているのが大きな特徴だ。値動きとしては債券型に近い。
リスク許容度に合わせたポートフォリオを
こうしてみてみると、運用コストが低いものはほとんどがインデックスファンドという結果になった。市場平均を上回るパフォーマンスを目指すアクティブ派には退屈だったかもしれない。ただ資金使途が明確な人や長期で運用したいという人、資産の大部分を投資信託で運用したいという人は、コストが低いインデックスファンドに投資することの意義は大きい。
上述した商品を組み合わせてうまく運用したいという人は、許容できるリスクによってそれぞれの資産配分を変えるのが良いだろう。
たとえば将来の教育資金を学資保険よりも高い利回りで運用したいという人は、損する可能性をなるべく抑えた方がよい。もっともリスクの低い国内債券に資産のほとんどを投入し、残りを国内REIT型や国内株式型に配分するという方法がある。
運用目的は老後資金だが、まだまだ働けるし給料の増加も見込めるという人は、リスクを比較的大きめにとれる。国際・国内株式型を積極的に取り入れていくのもひとつの手だ。
資産タイプの組み合わせはアセットアロケーションとも呼ばれ、個別の銘柄を選ぶよりもパフォーマンスに与える影響が大きいという説が一般的だ。コストの低いインデックスファンドで適切な資産配分ができれば、資産形成に大きく貢献するだろう。
文・MONEY TIMES編集部
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